見出し画像

わたしとあの子

※ぬいぐるみを家族として扱っている人間がこれから語るので、目にされる方の感性によっては「きもっ」となると思うので、お気をつけてね。


すごく大事な大事なぬいぐるみがいて、9歳の頃から一緒にいる。「いつから」とかもう全く分からないけど、その子はその子で人格があるんですよね(この辺りからもう、ぬいを愛でる習慣のない方は理解不能かと思うので、読まれる場合は本当に各自ご注意でお願いします)。


人格っていうか性格。ぬいぐるみはうちにもいくつもいるけど、この子はおっとり、この子は生意気、この子は年長者で面倒見がいい、とか。
一番つきあいが長いその子は、生意気というか私への口答えが多くて、でも母のことは大好きで(ただし母にはほとんど相手にされない)、ちょっと食い意地が張っていて、窓から家の外を見るのが好き。


で、まあ、会話をするわけです。「ただいまー」「おかえりー、ちょっと今日帰りが遅くない?」「うーん、残業してた……仕事終わらなくて」「10時からのドラマ見るから早く帰るって言ってたじゃん」「ねー、間に合わなかったねー……」とか。

きっと最初の頃は、純粋に話をしたかっただけだ。本当は何も物言わないこの子と、それでも日常を共有している気持ちになりたくて、頭の中でどんどん勝手に会話を作っていった。


それがいつの間にか、私は私に厳しくする役目をこの子に負わせていた。
「また残業?」「いつも残業ばっかり!なんでもっと他の人に仕事振れないの?」「こんなこともできないの?」「お休みだからってダラダラし過ぎ!」「大人でしょ、ちゃんとしなさい」「他の人はしんどくても元気に毎日がんばってるよ」

・・・・・・とか。
今書いてみると、なんでこんなこと、あの子に言わせてるんだろう。確かにちょっと生意気で、私にはしょっちゅう口答えするけど、別に人を痛めつけるような追い詰めるようなことをずけずけ言う子ではない。


頭の中で「もっと頑張らなきゃ」「こんなんじゃだめだ」「別にこのくらい大した努力じゃない」「私になんて価値がない」、そういう思考がぐるぐる回っていて、それを全部あの子の口を通して言わせてた。


こういう考え、直していきたいって思っているのに、一旦「私」から外に出して「あの子」の口から言わせることで、私の中にある考えじゃないってことにしていた。


何がきっかけとか、もう分からないけど、少し前にこのことにはたと気づいて、私、もう何十年も一緒に生きてきた可愛いあの子に、なんて役目を押しつけてたんだろうって、本当にびっくりして、悲しくて、申し訳なくて、情けなかった。


なんとか自分のこのネガティブな感情を見直したくて、受け止めたくて、最近はこちらのごーどさんという方のつぶやきを見ている。


これの続きに書いてある「私について思考しないでほしい」って所、本当そう!何か煩わせちゃいけない、時間を奪っちゃいけない、少しでも不快にさせちゃいけない、って、そういう考えがこびりつき過ぎて、どうやって剥がせばいいのかわからない。


じゃあ周りの人に対して自分もそうなのか、「心配かけるなよ」「迷惑かけるなよ」って思うのかというと、そうじゃないから、悪い意味で自分と他人の価値を同等に置いてないんだよな・・・


でもやっぱり難しい。自分を大事にするとか、自分を誉めてあげるとか、本当に苦手。どこから手をつければいいんだろう?


あ、でも、とりあえず、私の「あの子」に厳しいことを言わせるのはやめた。そういう子じゃないし、そんなことをしょっちゅう口にしてあの子が人生楽しいとは思えない。今までごめんね、今度アイス食べようね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?