わたしひとりで

父に起こる変化なら、母にだって起こってもおかしくない。なんでそんな簡単なことに今まで気づかなかったんだろう。


男性と女性という違いはあれど、年齢を重ねていく、老いていくという点では父も母も同じだ。父は年を取ってから人が変わったように怒鳴り散らしたり暴言を吐いたりするようになった。その変化があまりに急激すぎて怖くて、母と手を取り合って震えてた。


だけど父のそれが加齢の所為だと言うなら、母にだって起きてもおかしくないのだ。当たり前だ。なんでそんな当然のことに今まで考えが及ばなかったんだろう。


母も怒りっぽくなった。父の怒りに対して怒りで返すようになった。怒鳴り合いに近いことも、時々ある。母は暴言の中でも特に「バカ」と言われるのが耐えきれないらしく、「なんであたしがそんなこと言われなきゃいけないのよ!」「お父さんにバカって言われたこと死ぬまで忘れないから!」と怒鳴り返していた。


私ひとりで、どこまでこの二人と一緒に暮らしていけるだろう。私が色々機転が利いて、場の空気とか変えられるようなタイプの人間だったらいいけど、現実は二人の怒鳴り声を聞くと、怖くて怖くて何も言えなくなってしまうような人間だ。


こういう時は少しだけ、HSPじゃなかったらよかったのにと思ってしまう。

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