2018.8.1 夕飯前のアイス
昼寝して、夕方に目が覚める。
時計を見ると間もなく18時半。日中、陽の光をこれでもかと中に入れていた南向きの窓は、赤い夕焼けを見せていた。
昼寝をしたのなんて、何年ぶりだろう。
精神的な理由で体調を崩した学生時代から、生活のリズムにはものすごく気にしていた。夜寝れなくなるのが嫌だったから、昼寝はしない生活を何年も続けてきたのだった。
エアコンの設定温度を下げる。途端に冷たい風が肌を冷やす。これも、本当は身体によくないのは、わかっている。
まだぼんやりした意識の中で、いつかの夏休みを思い出す。今のアパートじゃない、どこかで過ごした夏休み。
昼食を食べて、暑い中で水遊びをして、ちょっとつかれて昼寝した。目が覚めると夕方で、さっきまで遊んでいた庭には影がさしていた。
遠くから包丁でまな板を叩く音がして、もうすぐ夕飯なんだと思った。
でも僕はどうしてもアイスが食べたくなって、台所に誰も居なくなった瞬間をねらって冷凍庫を開ける。
そして再び縁側に戻って、山の向こうに沈んでいく夕日を見ながらアイスをたべる。
後ろから、
「夕飯食べられなくなるよ」
と、やさしい母親の声がする。
うとうとしていたようだ。
僕は南向きの部屋、薄暗くなりつつある中でまた目が覚める。
時計を見ると18時40分。そろそろ夕飯を食べて、シャワーを浴びよう。昼寝してしまったから、きっと今日はなかなか寝付けないかもしれない。
映画でも見ようか。
そう思いながら、さっき隠れてアイスを食べたことを思い出す。夢の中でのことだ。
確かに、いつかの夏休みにあんなことがあったような気がするのだけど、いつのことだろう?
小さい時から都心に住んでいて、水遊びのできるような庭を持つ親戚も居なかった。沈んでいく夕日も、ビルの隙間に消えていく様子だったら見たことがある。縁側だってみたことがない。ベランダならあるけど。
いつか見たドラマのシーンだろうか。それとも、読書の趣味が夢に反映したのだろうか。
夕飯の用意をしに、キッチンに立つ。今日はあまりもので適当にしよう。
そういえば冷凍保存していた肉があったな、と思って冷凍庫を開ける。
買った覚えのない、アイスが入っていた。
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