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二編の詩に思う②

「朝のリレー」

大人になってからも思い出す
国語の教科書に載っていた詩がある。

一つは谷川俊太郎『朝のリレー』
もう一つは新川和江『わたしを束ねないで』

「朝のリレー」はだいぶ前にCMにも使われて
ご存じの方も多いだろう。
この詩を読むと現実の時間が飛んで
朝にいるような気分になれる。

この詩に登場する
キリンの夢を見ているカムチャツカの若者も
バスを待っているメキシコの娘も
寝返りをうつニューヨークの少女も
朝陽にウインクするローマの少年も
「ぼくらは朝をリレーするのだ~そうしていわば交代で地球を守る」
守るなんて大げさくらいに
皆、日常的で 皆、平和だ。

おそらく 今の時代、不安や悲しみや憂鬱のない朝をむかえることは
そんなに簡単ではないように思う。
この詩は「朝」が静穏なイメージで書かれていて
わたしが大切にしている「朝」を肯定してくれていると感じる。

私にとっての「朝」は
暁の、日が昇る前の青い朝。
一日で一番好きな時間帯だ。
あたたかい飲み物を片手に
消える前の月や星を眺めていると
心が安らぎ落ち着く何にも代え難い時間。


寝る前のひととき 
ふと、今 朝をむかえるのはどのあたりかスマホで検索してみた。
「ふーん、カナダの西部ね・・・。」
私がそうするようにマグカップを片手に
窓の外を見ている誰かがきっといるんだろうな。
そんなことを思ってスマホを閉じて寝返りをうった。
かすかにコーヒーが香った気がした。


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