眼球から15センチ先の話

色、色が落ちていく

これは何色ですか
一瞬光っては私の喉を絞めて占めて締めて
消えてゆく
調べる間もなく

私はあなたの名を永遠に知ることができません
原色しか知らぬ脳では
捕まえることのできない深淵を
覗くというよりも掠めるごとく
そして現れるたびに異なるので
あるいは全くの別人なのでしょうか

あしながおじさんからの手紙を待つ少女のように
太宰に陶酔し自らを捧げんとした女性たちのように
私はあなたがまた姿を見せてくれるのを待っています

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