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3分で丸わかり「総理の夫」レビュー 中谷美紀&田中圭主演。日本映画にポリコレの波が本格的にやってきた。

解説(引用)
原田マハの小説「総理の夫 First Gentleman」を原作にしたドラマ。知らぬ間に妻が史上初の女性総理大臣になっていた鳥類学者が、政治に翻弄(ほんろう)されながらも夫婦一丸となってさまざまな障害を乗り越える。メガホンを取るのは『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』などの河合勇人。『mellow メロウ』『哀愁しんでれら』などの田中圭、『繕い裁つ人』ドラマ「ハル ~総合商社の女~」などの中谷美紀が、主人公の夫婦を演じる。
シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ(引用)
少数野党の党首を務める凛子(中谷美紀)を妻に持つ、鳥類学者の相馬日和(田中圭)。もし総理大臣になったら不都合はあるかと凛子に尋ねられた日和は、それを気に留めることもなく野鳥観察の出張に向かう。電波の届かない孤島で彼が10日にわたって野鳥観察をしている間、凛子は日本史上初の女性総理大臣に選出される。突如、総理の夫となってしまったことに戸惑いつつ、妻を全身全霊で支えようとする日和だが、夫婦の愛と絆を試されるような問題が次々と降りかかる。

●本作のポイント

大胆なフィクションの発想と、わりかし近い将来誕生するかもしれない「女性総理誕生」というリアリティをうまく融合させた本作は、今の日本人が見るべき一本に仕上がっている。

奇しくも総裁選、衆議院選挙は控える2021年、もしかすると日本初の女性総理が誕生するかもしれないタイミングはまさに神がかっている。

日本初の女性総理&ファーストジェントルマンが誕生すると言うかつてない設定は、原田マハさんの25万部越えのベストセラー小説が元。
監督は今最も旬であろう、「かぐや様は告らせたい」の河合勇人監督。政治と言う重たいテーマをコミカルに演出したのはさすが!

監督曰く、政治物の映像化は難しいと言われていますがネガティブなイメージを最初から持っておらず、あくまで夫目線でファーストジェントルマンに祭り上げられてしまった姿をコミカルに描いた。そして何より1組の夫婦の姿を描く普遍的なお話にフォーカスを当てたのが、今回の成功の要因でしょう。

日和のフィクションとして割り切れるキャラクターと、嘘をつきたくない凛子のキャラクターのバランスが、非常に難しかったと思います。

精神的、肉体的、社会的にジェンダーにとらわれることなくリーダーシップを発揮する姿を描いた中谷美紀さんはまさにあてがきかと思うほど。

ニュージーランドの女性首相ジャシンダ・アーダーンが世界初の首相在任中の産休を取得するなどを見事に脚本取り入れられています。

またもし日本初の女性総理が誕生したら、マスコミやメディアはどのように報道するのかのシミュレーションが非常に見ていて面白かったです。

前半は夫が女性総理が誕生したことで巻き込まれていくパート、中盤の政治パート、そして最後の夫婦の葛藤を乗り越えるパートと見やすく描かれております。


●お勧めのシーン

冒頭で「もしも私が総理大臣になったら、何かあなたに不都合ある?」と言うセリフがなんとも印象的。急にとっぴを下ないことを言う奥さんを目の前に、キョトンとした田中圭さんの演技も見ものです。このシーンからして2人の性格をよく表している。

また途中で浮気疑惑が日和に出るのですが、誘ってきた相手の女性の下に中谷美紀さんが優しく声をかけるシーンはまさに修羅場!!気が気じゃありませんでした。特に今の私には。。。

さらにラストの記者会見のシーンに夫である田中圭さんが堂々と想いの丈を述べるシーンには胸が熱くなりました。


●この映画がターニングポイントになるべき理由。
日本にもポリコレが本格的にやってくる!

最近の邦画作品で首相を描いた作品と言えば、中井貴一さん主演の「記憶にございません」や、大杉蓮さんが首相を演じた「シン・ゴジラ」などが浮かびます。

ただ歴代の映画を見ていると当然のように男性総理が当たり前となっている。それは女性総理を描いてしまうと何かそこに意味があるのではないか?となってしまうからでしょう。
しかしながら本作が日本初の女性総理を描いたことにより以降の日本映画はジェンダーレスに女性総理が出てくることを願いたい。アメリカでは肌の色や、宗教や、性別による固定概念を変えるポリティカルコレクトネスが叫ばれているが、日本映画もようやくターニングポイントを迎えるのではないだろうかと期待します。


その他 作品雑学

またお正月に原先生を訪ねる和服姿は、中谷美紀さん自らの提案で自前の着物を着よ。京友禅に帯を人間国宝のており。ファッションにも注目です。

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