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28番~35番 '同行'

安芸球場駅の前でテント泊をして
夜の間、海くんは猫ちゃんをテントに招待
していたそうです。
朝日が射すとまた僕らは歩きだしました。
しばらく歩いて
南国市というトロピカルな名前の町を越えれば
そこは高知市でした。
30番札所「善楽寺」の手前で
大雨が降ってきました。
しかし真夏の通り雨。
激しい雨でしたがそう長くは続かず
その後久しぶりの銭湯へ。
「ぽかぽか温泉」でぽかぽかと体を
暖めてその日は
カウチサーフィンを使って
高知市内に住むマレーシア人の方に
泊めていただきました。
マクドで夜ご飯を食べて就寝。
マットレスという存在をこんなに
有り難く感じた夜はないでしょう。
もう2度と目を開けないんではないか
と思ったほどの快眠。

そして
種崎渡船場から梶ヶ浦渡船場まで
船で渡りました。
なんとここ
「海の県道」なのです。
文字通り海を渡る県道。
なので短い距離ですが船賃も無料です。
お遍路にて乗り物で進んだのは
後にも先にもこれが最後でした。
そして気づきます。
「あ、友達から誕生日プレゼントで貰った
ジッポのライターがない。」
焦りましたが思い当たる節があり
昨日いった銭湯に連絡してみると
あったみたいで家まで送ってくださる
ことになりました。
頭もぽかぽかになっていた場合か。
こういったどんくさい過ちを幾度となく
繰り返しており、海くんも僕に対して
募るものがあったと思います。
自分も自分自身に対して時折落胆していました。
そんな海と歩く幅はこの日も広がっていき
彼が遍路道をそれていったように
見えたので
小さくなっていく彼に大声をかけたのですが
気がついて貰えず
「まぁどっかで気づくかするやろう。」
とまた一人歩き出しました。

予想通りしばらくすると再会。
しかし両手に棒切れを2本握りしめていました。

「あれ、杖は?」

海くん、途中で道を間違えたことに気づき
ぶちギレて、同行二人の杖を
叩きわったのでした。
杖は弘法大師の化身です。
真っ二つ(笑)
いや、笑い事じゃない笑い事じゃない。
弘法大師が身を呈して海の怒りを
静めてくれたのでしょうか。
荒ぶった形跡はあったものの
再会した時は少し落ち着いていて
僕は少し安心。
その日は水車のある休憩所で寝ました。
そしてまた
僕と海と空海さん1人は真っ二つになり
消えてしまったので
僕の杖である
もう1人の空海さんの3人で歩いていきました。
本来2人いたのが
おかしかったんでしょうね(笑)

9日目
28番札所「大日寺」~30番札所「善楽寺」
歩行距離 約44km


二十八番札所「大日寺」
二十九番札所「国分寺」
三十番札所「善楽寺」


10日目
31番札所「竹林寺」~35番札所「清瀧寺」
歩行距離 約36.5km

三十二番札所「禅師峰寺」
三十三番札所「雪蹊寺」
三十四番札所「種間寺」
三十五番札所「清瀧寺」

南無大師遍照金剛

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