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45番~53番 'お接待'

早朝に
古岩屋荘からすぐ近くの
「岩屋寺」を打ちにいきました。
削り取られたような岩山に建てられたお寺で
朝靄に佇む姿は
とても神秘的でした。
巨岩に点在する岩屋と呼ばれる岩窟では
古来より多くの僧が修行をしていたそうです。

歩く修行を行う私は
久万高原をあとにし
三坂峠を越えた先にある
「坂本屋」というところでお茶の
お接待をうけました。
そこで昨晩同じ場所で野宿をしていた
お兄さんと
関西の大学からしばしばここに訪れ
お接待文化を研究しているお姉さんと
出逢いました。
広めてください、この素晴らしき文化。
後に海くんに聞いた話によると
昔は厳しい修行に耐えられず
道半ばで死んでいく人も多かったそう。
彼らを葬るのはその地域の人達だったので
大変面倒だったとか。
そうならないように、
歩きお遍路さんが生きて前へ進めるように
お接待をし始めたそうです。
発端はどうであれ
現代の四国の人達にあるのはただただ
手を差しのべてくれる慈悲の心。
お接待文化など歩き出す前は
全く知らなかった自分も
お蔭様で何度も止まりかけた足を
前へ進めることができました。

なにより
久しぶりに同世代の女の子と話しました(笑)
それもまたひとつの原動力。
謙虚で純真な心とひとつまみの下心
仏への道は程遠い(笑)

そこからはそのお兄さんと共に歩き
48番「西林寺」まで打ち終えて
近くの「杖の淵公園」で野宿をしました。
お兄さんは社会人として働いているので
連休を利用して「区切り打ち」と呼ばれる
お遍路を歩いては帰り
また次四国にきて歩くときは
前回歩き終えた場所から始めるという形で
この旅をしていると聞きました。
実際僕らのように、通しで八十八ヶ所を
回る人は少なくとも1ヶ月以上は
かかるのであまりいませんでした。
時間をもて余している学生だからこそ
為せる所業(笑)
その人それぞれの道で、時間で、
歩きます。

朝は1人で歩きだし
愛媛といえば、の「道後温泉」を
通りました。
夜やったら温泉入ったのにな~
風俗街を横目に
夜やったら風俗入ったのにな~
いやいや、失せろ煩悩(笑)

足は止まることなく歩き続け
途中でおばあちゃんに美味しいパンを
買ってもらって
「私はもう年老いたから」
とこぼしたした。
背負ってくよ、おばあちゃんの祈りも。

その日は
道の駅の前にある「風早長浜海岸」で
テントを張りました。
ゆっくりしていると昨日共に歩き
一緒に公園で寝たお兄さんが
通りかかりました。
4kmほど歩いた先に遍路小屋があるので
そこで泊まるそう。
また会えるかな。

夜中に聞こえた
若い子達のはしゃぎ声。
そうか、今は夏休みか。
微睡みのなかで花火の音が
鳴り響いていました。

20日目
45番「岩屋寺」~48番「西林寺」
歩行距離 約35km


四十五番札所「岩屋寺」
四十六番札所「浄瑠璃寺」
四十七番札所「八坂寺」
四十八番札所「西林寺」



21日目
49番「浄土寺」~53番「円明寺」
歩行距離 約34km


四十九番札所「浄土寺」
五十番札所「繁多寺」
五十一番札所「石手寺」
五十二番札所「本山寺」
五十三番札所「円明寺」

南無大師遍照金剛

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