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夏の思い出

と、言っても甘酸っぱい恋の話ではありません

20と数年前、学生の夏休みの定番と言えばリゾートバイト
1か月を牢獄に強制収容同居人との部屋付き3食付き住み込みバイトだ

当時はネットなぞないので、バイト情報誌をめくって決めるのだが、
何を思ったか関西から山中湖の湖畔にある旅館で働いた
この事の詳細はまた書ければいいかなと
そこの女将さんのお友達と言う方が一緒に働いていた
とても上品な方で、東京から来ているという

何故か私はそのご婦人にやたらと気に入られ、連絡先をもらい
当時は実家が関東だったのでお勤めが終わった秋口に連絡をして
食事をすることになったのだ

まあ、当然あれこれ想像はしてしまうのは若い男として当然だが、
当時の母以上の年齢の方なので、そんな話になったらどうしよう?
と一人どうでもいい妄想をしながら指定の場所に

そこは当時まだ完成のニュースの記憶も新しい、恵比寿ガーデンプレイス
待ち合わせには確か明るい色のワンピースと同色のつば広の帽子を被った
上品な妙齢の女性(山中湖の時のデニムとTシャツはどこへ…)
私はと言うと、服装なんてどうでもいい貧乏大学生
汚いデニムとよれたTシャツに汚いスニーカー
いや、聞いてないし…困

喫茶店でパスタでも食べて一服して帰ると思っていたのに
お上りさんの私はお店を任せたところ、近所の「マトモ」なフレンチへ
私:いや、さすがにここは…
婦人:いいのよ、全部出してあげるしきっちりお金払うんだからあなたもお客よ!
ああ…なんて太っ腹で豪快な

緊張で周りからどう思われているのか気になって、味は美味しかったとしか記憶してない
確かメニューは一皿5000円以上だった気がする
しかもランチタイムは終わっており、アラカルト
でも、食べたのは”チキンのオレンジ煮”みたいのだったのは覚えてる

夫人は若いのだからもっと食べなさい!と色々注文してくれた様に思う
いったい支払いはいくらだったのか…
財布に入ってるお金全部出しても絶対足りなかったけど

数時間後、部屋にお茶に誘われたがお断りして帰宅
それがそう言う意味だったのか、そうでないのか分からないが

その後、余りの生きてる世界の違いにビビり、連絡を取らなかったが
大人になって親交を続けておけばよかったと、欲深くなったおじさんは後悔している
ただ、本当にいい人で純粋に私のこと、なんでか分からんけど気に入ってくれてたのだけは分かった
なお、ご婦人は未婚だと言っていた

一度きりお会いしただけだから美しい思い出なのか
それともそうでないのか
時間は戻せないけど…

東京には本当に時々、とんでもない金持ちが普通の世界に紛れているのが面白い
もう、自分の年齢を考えると、あの方も鬼籍に入られていたとしてもおかしくないのだが、ご健康でなお美しく強く生きておられることを願っております

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