働き口が無い

僕の妻は社会不安障害です。

現在、妻は仕事に就いてはいません。カテゴリー的には”専業主婦”にあたります。

子どももいないので、働けるなら働いた方が良いと思います。

本人もそう思っているでしょうし、僕の収入も極めて少ない方なのでそれはもうお金は足りてないです。

しかし、働けないのにもやはり事情があります。

社会不安障害の症状はいろいろありますが、働くうえで最もネックになるのは”コミュニケーション障害”です。話しかけられたりすると頭が真っ白になってしまいます。(いつでもだれに対してもというわけではないのですが、逆にそれが難しいところでもあります。)

コミュニケーションに障害があっても接客業じゃなければ大丈夫じゃないか、と思うかもしれませんが、そんなに単純な問題ではありません。

例えば、工場でライン作業だったとしても、上司から説明を聞いたり、分からないことを質問したり、問題を報告したりと、どんな現場でも人とのコミュニケーションは避けては通れません。

「知らない人と話すのが苦手」とかそういうレベルじゃないのが”障害”なのです。


結婚する前の話ですが、半ば無理やり働いてもらった時期がありました。

某飲食チェーンのセントラルキッチンや某スーパーの総菜部門などでした。

いずれも接客業ではありませんが、職場内の人間関係に悩み、時間に追われる作業もプレッシャーとなり、ストレスで日常生活にも弊害が出るようになってしまいました。

相当辛かったと思います。

無理して働いてこんなになっちゃうなら、お金は無くてもいいやって思いました。(”お金が無い”という状態も精神的に負担となって良くないのですが)


障害者が働けるように、という公的な制度もいくつかあります。

しかし、それは僕たちにとっては”使えない”ものでした。

障害者雇用制度

ある程度以上の規模の会社は一定数の障害者を雇用しなければならない、というものです。だいぶざっくりとした説明ですが。

ハローワークにも障害者の求人があります。

しかしこの制度は少なくとも僕たちにとっては使えませんでした。

この制度で雇用されると、「週5勤務」がほとんどです。

妻の障害は突発的に起こることが多く、決まった日に確実に出勤するというのが難しいです。1日のうちの勤務時間も長いし。(調べたところ、”原則週30時間以上の勤務”らしいです。)

企業としても、「制度として決まっているから雇う」というのが大半で、現場にまでサポート体制は整っていないことが多いです。

そして、企業には障害者を雇った分だけ「補助金」が出ます。

そうなると、企業としては、「ほぼ普通に働けるけど”障害者”という扱いになっている人」を雇うことが一番”得”なのです。

しかもこの”障害者”というのが、「身体障害」も「精神障害」も一緒くたにされています。

例えば、足に障害がある人にパソコン作業をやってもらえば、仕事は普通にできるし補助金はもらえるし、という状態になります。

全ての企業がそうではないと思いますが、実際に精神障害者は求人に漏れることが多いと感じるし、そもそも働けそうな求人がほぼ無いのが現状です。

障害者雇用は全く見つからないので、妻が働いた時のやつは障害を隠して普通のバイトとしてでした。障害を隠したことがまた精神的負担になって良くなかったです。「障害を隠して応募なんかして!」と糾弾される可能性もあります。

しかし、そうでもしないと働き口は見つからなかったのです。


作業所

「障害者が作りました」といって、クッキーとかキーホルダーなどが売られているのを見たことがあるかと思います。

あれはいわゆる「作業所」で作られたものです。

そういったところで働くのも一つの方法かと思いますが、作業所はまた毛色が違うものです。

言い方が正しいかは分かりませんが、作業所は妻よりもっと”重い”症状の方たちのためのもので、そういう方たちが少しでも社会参加できるようにという意味合いのものです。

給料も出るのですが、時給にすると100円とか200円とかそういうレベルになってしまいます。

もし妻が作業所で働いたら、例えばクッキーを作るのだったら普通の人並にできるので、作業所では”エース社員”になると思います。

しかしそれで時給が100円だったらやってられないでしょう。

作業所は妻のような度合いの障害者向けではありません。



以上のように、障害者のための制度はあれども、その障害者の”枠”が大きすぎて、個々にはフィットしていないのが現状だと思います。

もっと実情に沿った制度ができることを望む次第です。

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