「メンヘラ」はネタにできるか
僕の妻は社会不安障害です。
そして、僕はお笑い芸人です。
お笑いの舞台で、「メンヘラ」という言葉が出てくることがあります。
「メンヘラかよ!」とツッコんだり、「自分メンヘラなんで…」と自虐的に使ったりと様々です。
中には「メンヘラ女と付き合っちゃってヤバかった」みたいな話をおもしろエピソードとして話す場合もあります。
この言葉を使う人にとっては『メンヘラ=性格がこじれてる』ぐらいの軽い意味合いで使っているかもしれませんが、僕のように精神疾患と深く関わっている人間にはなかなか受け入れられるものではありません。
まして、妻のような精神疾患患者本人にとってはなおさらでしょう。
メンヘラと総称される、強い依存、不安、自傷、ヒステリック、パニック…
これらは病気であり、障害です。
笑いの種にできるものではないと思います。
障害者を笑いものにする芸人なんて今時ほぼいないでしょう。
じゃあなぜ精神障害なら大丈夫なのか、疑問です。
あまりにも簡単に「メンヘラ」という言葉が使われすぎていると思います。
妻は、昔はお笑いライブに行くのが好きでした。僕と出会う前からです。
しかし、メンヘラを貶めるような場面が目に付くようになり、そのたびに「やっぱり自分はダメな存在なんだ」と思ってしまい、とうとうライブに行けなくなってしまいました。
僕も一人の芸人として、お笑いの舞台で傷つく人を出してはいけないと思います。
”最近のお笑いは制限ばかりでつまらなくなった”というのも確かに分かります。
「メンヘラ」という言葉を使うこと全てが悪いわけじゃないとも思います。
しかし、人を傷つける可能性がある言葉であるのも確かです。
もしその言葉を使うなら、100%完璧に扱うこと、それができないのなら使わないでおくべき、というのが僕の考えです。
『絶対に誰も傷つかない』というのもあり得ないと思いますが、『絶対に誰も傷つけてはいけない』という思いはプロとして持っておくべきではないでしょうか。
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