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大雨災害時の自治体の初動

毎年、7月から9月までには、まとまった大雨により冠水等が生じた報道を多く見ます。
特に近年は、市街地で、短時間にまとまった強い雨が以前より多く降るようになったと感じます。
気象庁が示している全国のアメダス観測所のデータからは、時間雨量が50mmを超えるような短時間強雨の発生回数は、全国的に増加傾向にあるとされていて、1980年頃と比較して約1.5倍くらいに増えていると読み取れます。

大雨時は、降る場所が郊外なのか、市街地なのかによって、想定される対応が異なります。

市街地で、道路に入っている雨水暗渠等の処理能力を超える雨が降った場合は、暗渠内の水位が徐々に上昇し、やがて冠水します。
短時間の雨の場合は、冠水箇所はある程度めぼしがついたとしても、発生の予想は難しいです。
また、短時間の雨であれば、冠水が生じても、雨水が流れる先の河川の水位が上昇していなければ、冠水した水は、すぐに引いていくこともあります。
そのため、冠水の連絡があって現場に向かっても、すでに水が引いているということもあります。

また、大雨時の自治体の対応で重要になるのは、内水排除です。
内水排除とは、大きな河川の水位が上昇した際、そこにつながる水路等への逆流を防ぐために、樋門を閉め、市街地側(堤内地と言います)の水をポンプアップして、河川に流す作業をいいます。

これが遅れると、河川の逆流により市街地で冠水が生じるおそれがあるため、かなり重要度が高い作業です。

郊外の場合は、小規模な河川や水路の溢水による道路崩壊や法面崩壊等が懸念されます。
特に道路では、溢水した水により道路下の土や砂利が流れ、表面には変状がなくても、下が空洞化している、なんてことも生じるおそれがあります。
このような変状を早期に見つけ、通行止め等の措置をとり、被害の拡大を防止を図ることが重要です。

このような初動では、机上の理論よりも、現場での経験が対応力に直結すると感じます。
大雨シーズンはこれからですので、平時から対応を意識して、対応力を上げていければと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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