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黒歴史とハウルの動く城


誰でも一つや二つ黒歴史を持っているだろう。私にも人にももちろん数多の黒歴史がある。今回はその中でももっとも黒い黒歴史について書きたいと思う。

あれは中学生のころだった。私はある漫画のキャラクターに憧れて黒いハイネックを着て黒いマニキュアで爪を黒くしていた時期があった。

そのくせ太り気味でぼってりした顔をして天パのロングヘアを後ろに一つ結びしただけ(ちなみに小4にして同学年の女子に無邪気におばさん呼ばわりされたことがある)下はGパン一択というどこからどう見てもお洒落とは程遠い身なりをしていた。

しかもそのスティーブ・ジョブズのような服装にゴールドのチェーンのブレスレットなどしていた。いろいろとヤバい。

その漫画に出てきたキャラクターというのはバンドをやっていて、全身黒尽くめという設定だったのでうまくすればもしかしたらお洒落なバンギャになっていたのかもしれないが、私は漫画オタクなうえ当時好んで聴いていた音楽がなにせB'zだったのでバンギャ文化には触れずにここまで来てしまった。

それに天パと体型のせいで自分に自信が持てなかったのでお洒落というものが縁遠かったこともある。そんな中の精いっぱいのお洒落が黒マニキュアと金のブレスレットなのだから泣ける。

これが私の色彩的にももっとも黒い黒歴史だ。それに引き替え今の若い子はお洒落だなと思う…ほんとうに…。「若いだけできれい」だなんてあれは嘘だと私は身を持って知っている。

高校くらいまでは勘違いと妬みで芯まで黒かった。いや、勘違いを純真と言い換えれば純真ではあったのかもしれないが、その純真さは密かな失恋によって打ち砕かれる。好きだった部活の先輩が私の知らぬ間に親友に告白していたのだ。親友は当時からとても可愛かった。

のちにハウルの動く城が劇場公開されたとき「私はきれいだったことなんて一度もないわ」と雨の中ソフィーが号泣するシーンを見て私は友人が隣にいるのにも関わらずボロボロこぼれ落ちる涙を止められなかった。「ソフィー、お前は私か」と。

小学生におばさんと呼ばれてもなんとも思わない年齢になってしまったけれど今は昔とは違う。大嫌いだった天パも縮毛矯正という救世主のおかげでサラサラストレートにすることができる。お洒落だってし放題だ。めんどくさがりさえしなければ。

相変わらず恋はうまくいかないけれどおばさんらしくないおばさんに、おばあちゃんらしくないおばあちゃんになってやろうじゃないか。日和ろうとする自分に活を入れて、黒歴史なんかぶっ飛ばせ。

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