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【特別区経験者採用】希望区の選び方 2024


採用人数で選べばいい?

初学者にありがちな希望区の選び方として、採用人数で選ぶというものがある。多くの受験生が、「採用人数が多い区は入りやすく、少ない区は入りにくい」と考える傾向にあるが、この考え方は必ずしも妥当ではない。

というのも、他の受験生も同じように考える可能性が高いからだ。多くの人が「採用人数が多いA区は入りやすい」と考えれば、多くの受験生がA区を希望することになる。

逆に、採用人数が少ないB区については、「入りにくい」と考える受験生が多くなるだろうから、希望者は少なくなり、結果的に多少なり競争がゆるくなるという成り行きだ。

したがって、採用人数の多寡で希望区を選ぶのは妥当な考え方ではない。他の受験生の動向も考慮に入れれば、一概に採用人数が多い区が入りやすいとは言えなくなるのである。

この点については、奥田先生も公式サイトで言及しているので、併せて読むことをお勧めしたい。

人気に基づいて選べばいい?

その他の選び方として、人気区・不人気区で選ぶという方法が挙げられよう。要するに、「人気がありそうな区は避け、不人気な区を選ぶ」という考え方である。

しかし、この方法も推奨できない。

そう考える理由は二つある

  1. 人気区・不人気区自体が存在しない
    この考え方は「人気区や不人気区が存在する」という前提が必要となるが、実際には人気・不人気といった傾向は存在しない。Ⅰ類(大卒程度)は別だが、経験者採用においては、毎年特定の区が一貫して人気があるとか、あるいは不人気だという傾向は確認できない。

  2. 統計データの裏付け
    Gravity受講生のデータを見てみても、特別区経験者採用に関して、特定の区がとくに人気があるとか、不人気だということは全く確認されていない。この点について、もっともらしいデータを示しているサイトもあるが、大学院で統計学を学んできた私からすると疑わしいものばかりである。

以上のことから、人気区・不人気区といった理由で選ぶ方法も適切ではない

では、なぜⅠ類では確認される人気区・不人気区といったものが、経験者採用では確認されないのだろうか?補足的にではあるが、その理由に関する仮説を示すことにしよう。

イメージ先行の意思決定

1つ目の仮説として、若者はイメージ先行で意思決定をしやすいという点が挙げられる。

かつての私もそうであったが、若者は「イメージ」や「雰囲気」に基づいて決定を下しがちである。その結果、キラキラした区に人気が集中してしまうのだ。

これは以前の予備校でデータを集めた際にも確認された傾向である。

生活拠点を変えられない

2つ目の仮説として、生活拠点を変えられないことが挙げられる。とくに、既に家庭をもっている場合には、現在の住まいから遠い区を選ぶのは難しい。

例えば、足立区に住んでいる社会人が大田区を選ぶと、通勤が非常に大変であろう。独身や大学生であれば、勤務先の区に近い場所に引っ越すことも容易だろうが、家庭がある場合は難しい。さらに、配偶者の勤務先や子どもが通っている保育園などのことを考えれば、現在の生活拠点を変更するのは尚更困難であろう。

そのため、社会人受験生の多くが、今の住まいから「現実的に」通える区を選ぶ傾向にある。その結果として、特別区内の様々な区に希望が分散しているのだと私は考えている。

本当に働きたい区を選ぶ

ここまでは、採用人数や人気区・不人気区で選ぶのはあまりオススメできないという話であった。

では、どのように選ぶべきなのだろうか?

最も良い選び方は、自分が本当に入りたい区、純粋にここで働いてみたいと思える区を選ぶことである。

しかし、仮にそのように思える区がない場合には、「選んだ理由を話しやすい区」を選ぶとよいだろう。というのも、特別区の人事委員会面接や区面接では、「なぜこの区を選んだのか?」という質問に答えられなければならない。それを踏まえると、理由を説明しやすい区を選ぶのは理にかなっていると言えるだろう。

以降では、「理由を説明しやすいとはどういうことか?」について、2つのポイントを指摘しておきたい。

感情

1つ目は、「感情」に基づいて選ぶ方法である。具体的には、自分がなんとなく好きだと思う区、縁がある区、馴染みがある区を選ぶのが良い。

例えば、社会人である皆さんなら、自分が働いたことのある区、よく足を運ぶ区、友達がたくさんいる区などが考えられる。自分との情緒的なつながりを感じる区を選べば、面接でも理由を話しやすいため、面接官にも納得してもらいやすくなるだろう。

よって、感情的なつながりや愛着、馴染み、縁がある区を選ぶのが一案である。

論理

2つ目は、「論理」に基づいて選ぶ方法である。もっと噛み砕いて言うと、自分が携わりたい分野に注力している区を選ぶというイメージだ。

例えば、私自身を例に説明しよう。私は特別区において教育や多文化共生に携わりたいと考えていた。そこで、教育に力を入れている足立区、そして多文化共生に力を入れている新宿区を選んだのである。

このように、自分が興味を持っている分野に注力している区を選べば、面接官からの「なぜ?」に対しても説得的に回答できるだろう。

採用漏れにならないために

希望区の選び方について、ここまで様々な考え方を紹介してきた。そのうえで、ぜひ皆さんには区面接まで見据えた希望区選びをしてほしい。

というのも、これまで何度も強調してきたように、2022年から特別区経験者採用では区面接での不合格・採用漏れが発生している。

これを踏まえると、どの区を選ぶかはやはり非常に重要である。適当な理由で区を選ぶと、区面接で「なぜこの区を選んだのか?」と聞かれたときにうまく説明できないだろう。

そして、説得力を欠いた理由を述べることは、採用漏れにも直結しかねないのである。区面接を突破するためには、選択理由を説得的に語れることが必須なのだ。

何よりも、どの区で働くかは人生における重要な選択である。今回の内容を参考にしながら、自分が納得できる希望区を選んでほしい。

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