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日々のこと 9月27日~30日

 毎日短めの文章を書いて載せていく試み。

 内容がフィクションであるのかノンフィクションであるのかはご想像にお任せします。

 9月22日~26日(前回)


9月27日

 線香の匂いがする。甘いミルクに苺のソースがかかっている。

 客間の机に熟したトマトが転がっている。

 Facebookは嫌い。忘れかけていたずっと昔の古傷が抉られることがあるから。

 取るに足らない間違いを恐れた結果、もっと大きな取り返しのつかない過ちをしてきた。わたしはいつもそうだ。

 ひとりじゃないと生きていけない。もとよりそういう風にできている。ひとりでは生きていけない人々よりも我々が劣っていると言われる筋合はない。

 そんなことを考えた。


9月28日

 比較的人が怖くなかった。信じて適当に喋ればいいのだと分かった。

 歌わないと声が出なくなってしまう。悪魔の契約書にサインをするかのように。盗られる美声などないのに。

 昼休みは軽く眠らないと体力がもたないのに、明日も外に出なければいけない。そんなことを考えた。


9月29日

 壊れたトイレを修理するために奔走する。

 冷房の効いた電車の中でお腹が痛くなる。誰かに追われているような気がする。

 コミュニケーションに対する恐怖心が薄れてきた。そんなことを気にするには歳をとりすぎてきているからだろうか。そんなことを考えた。


9月30日

 古びた地図を指でなぞるような感覚がある。部屋が暑くなったり寒くなったりする。

 エレベーターでずっと上まであがっていく。過去への羞恥心も、未来への不安や恐怖も、全ては自分の中で創り出された幻にすぎない。そんなことを考えた。