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小さな社の木鼻 @西大寺

今回は、奈良・西大寺の近くにある神社の『木鼻』の話です。
初投稿は京都で、次が愛知のお寺でしたが、3本目は奈良、
日頃は、奈良県内を歩くことが多いのです。
その日は、奈良盆地の北辺、秋篠寺から佐紀盾列古墳群を歩く時に、
街の小さな社で見つけた可愛い動物をご紹介します。

近鉄の駅の南側すぐに「西大寺」はあります。

長い距離を歩くので、観光スポットである西大寺には寄らずに、
お寺の北塀に沿って西に歩き、四つ辻に出た角に
小さな神社がありました。野神神社といいます。
小さな社(やしろ)が2つ並んでいて、どちらかといえば
同じ敷地に建っている地元の集会所のほうが目立っています。
その小さな社がこちら、小さな社殿で、
ご祭神の名前も書かれていません。
(調べると祭神は別雷神でした、上賀茂神社と同じですね。)

私の背丈ぐらいの小さなお社です

鳥居を潜ったお社の、位置的には軒下にあたるところ
水平に通された木材の先端が、柱から外側に突き出た部分、
建築部材としての名称は『木鼻』といいます。
かなり簡略化された彫刻ですが、
水色に塗られた「象」??「莫(ばく)??」が居ました。

水色に塗られた部分が水平の木材の一部です。
その拡大した写真が ↓ こちらです。
象にしては、少し短い鼻で牙が上を向いています。
なので象ではなく、想像上の『莫 ばく』なのでしょう。

『木鼻』とは、
社寺建築で、縦の柱を貫通し突き出た横部材の先端部分で、
「木の端(きのはし)」が転じて「木鼻」と呼ばれるようになりました。
鎌倉時代以降、日本独特の装飾に特化して発展したもので、
建築構造上の役割はあまりないようです。

彫刻は『莫』だけでなく、龍や獅子、象、植物や雲など
生き物から自然界までバラエティに富んだ題材があり、
また、簡略化されたものから精巧に彫り込まれたものまで様々で、
獅子が玉を持っていたり、龍が童子を咥えていたり、
いろんなポーズの動物たちが居ます。
部材の位置が高いので、細部まではよく見えませんし、
見上げていると首が疲れますが、様々な形を見るだけでも楽しいです。

こちらも木鼻で、右側が『莫」で、左側が『獅子』です。(誉田八幡宮 大阪府)

野神神社ですが、神社の社殿の隣にもう一つ小さな建物があり、
十一面観音の石像が祀られています。
神仏習合の名残りだと思いますが、詳しくはわかりません。

今回は、西大寺に寄らなかったのですが、
そのお陰で普段は遠らないルートを歩いて、
土塀越しの西大寺のお堂や、個人のご家庭の庭にあるアレやコレやを
楽しみながら歩きました。
たまには違った道を歩くのも楽しいものですね。

北塀越しに西大寺本堂の屋根を望む。



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