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『幸せな生き方』に気付かされた物語

今日ははらだみずきさんの「海が見える家」を読了しました。この本を読むきっかけになったのは、先日立川の本屋さんでポップに目を惹かれたのがきっかけです。生きる上で大切にしたい一冊、のような言葉が書いてあり、生き方とか人生観に興味がある私にとっては必ず読みたい本の一つになりました。そして、地元の古本屋さんで安売りしていたのを目にし、すぐの購入した本です。

あらすじとしては、ブラック企業に就職した主人公が1ヶ月で仕事を辞めたが、次の就職先は見つからずあてもない状態から物語が始まります。

周りは良い会社に勤め、出世競争の波に乗り、自分だけが“通常のレール”から外れた気持ちです。その気持ちすら、プライドが邪魔をし、誰にも相談ができずにいました。そんな時、疎遠していた父親の訃報を聞き、千葉県の房総の田舎にある父親宅を片付けにいくのです。

父親は早くに離婚をし、主人公と姉の2人を一人で育て上げ、定年を迎える前に会社を辞め、房総でひっそりと暮らしていました。主人公も姉も父親とは疎遠になり、何年も連絡を取っていなかったので、どこでどんな生活をしているかすら知らない状態でした。父親は優良企業に勤めていたので、急に辞めて田舎に行っていたことに対し、良い印象も持っていなかったのです。

しかし、父親の住居を片付けている期間、父の遺品や知り合いから聞いていく父の話を知り、「父親なりに幸せな人生を送っていた」ことを初めて認識します。一見、仕事を辞めて田舎に住むと言うと、隠居したかのような印象を持つ人もいます。けど、父の場合はそうではなく、「自分らしい生き方」「自分がしたいことをする生き方」。つまり、“自分らしい幸せの形”を作っていたのでした。

常に他人の評価軸、世の中の評価軸の中で幸せを見つけようとしていた主人公にとって、父の生き方は自分を省みるきっかけになりました。そして、父がなぜそのような生き方を選んだのかというと、幼き息子(主人公)に言われたある言葉がきっかけでした。

『自分の人生がおもしろくないなら、なぜおもしろくしようとしないのか。他人にどんなに評価されようが、自分で納得していない人生なんてまったく意味がない』

2018年8月13日 海が見える家 はらだみずき著


このことを父の知り合いから聞いた主人公は、自分が言っていた言葉が、今の自分にとっても刺さること。自分は父に言いながらも、自分が真逆の生き方をしていたことを反省し、房総での暮らしを選択していく話でした。


主人公が父に放った言葉に、とても考えさせられました。私も社会に出てから、自分の存在意義や幸せは、会社の中での評価や承認。出世などの外的要因によっています。幸せの尺度は皆一人一人違うはず。自分がどのような生き方をしたいのか。自分が幸せに感じることは何なのか。自分という人間を知り、自分らしいたった一度の人生を生きることが本当の意味で幸せになるのだと感じました。周りにも地位や名誉を手に入れても満たされていなく、さらに追い求め続けている人も散見します。これも自分の幸せの尺度で生きていないからかも知れません。

自分が幸せに生きることは、他人軸ではなく、”自分の幸せの尺度の中”で生きていくことなんだろうと気付かされた小説でした。

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