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「認知症の人の代理行為って、できるのかな?」

 こんばんはー。

 急に気温が下がってきました。昼夜の寒暖差で体調を崩さないようにしましょうね。
 今日は、「委任」についてお話をしようと思います。

 Day2とDay3で読んだわい!とツッコミが入りそうですが、今回の「委任」は、言葉尻は同じでも、意味が違う委任(窓口業務に従事する職員には馴染み深いもの)のことです。民法の世界では、「任意代理」という言葉に置き換えられて説明されることが多いですね。種々の理由から本人の意思に基づき発生する代理の関係を指します。
 もうひとつ、本人の意思に基づかずに発生する代理の関係を「法定代理」といい、自ら有効な意思表示をなし得ない本人(未成年者や制限行為能力者)のために行われるもので、本人を法定代理人と呼びます。




 では、証明交付窓口にいるあなたの前に、中年男性が申請書と委任状を持って登場。
中年男性「邪魔すんで」
あなた 「邪魔すんねやったら帰って〜」
中年男性「ほな帰るわ。邪魔したな。…ってこら〜!!」(吉本新喜劇の法則発動)
あなた 「どんな御用ですか」
中年男性「父親が入院してるんで、代わりに証明取りに来たんやわ」
あなた 「(ふむふむ。申請書も委任状も形式は整ってるな)では、準備しますので、おかけになってお待ちください」
中年男性「親が認知症になると、書類集めも難儀やわ〜」
あなた 「ふぁ〜っ!?!?」



■成年後見制度とは、認知症や知的障害などの理由で判断能力が十分でない人の代わりに、成年後見人が契約を結んだり財産の管理などを行って支援する制度。必ずしも親族が選ばれるとは限らないので注意が必要。

 普通に考えて、認知症の方に通常の法律行為を行えるだけの意思能力があるとは考えられないため、委任状の有効性はない。上記事例の場合、証明を交付することはできないと考えるのがスジです。

○成年後見制度
 ❶どんなときに使う?
  認知症になってから
 ❷成年後見人を選ぶのは誰?
  家庭裁判所
 ❸種類
  ▶︎後見:判断能力が全くない人を保護する
  ▶︎補佐:判断能力が著しく不十分な人を保護する
  ▶︎補助:判断能力が不十分な人を保護する

○任意後見制度
 ❶どんなときに使う?
  認知症等になる前
 ❷成年後見人を選ぶのは誰?
  本人
 ❸種類
  ー

 ただし、①父親が元気なうちに公証人役場で任意後見契約を結び、家裁で手続が行われている場合には、当該契約の写しの提出を求める、②家裁から成年後見人が選ばれている場合には、家裁による法定後見の登記が行われているため、当該登記の写しを求めるなど、柔軟な対応を考えておく必要があります。

 超高齢社会と言われて久しいですが、窓口業務においては、役所のみならず企業においても未だ任意代理だけが想定されているように見受けられます。安易に証明等を出すと泥沼の親族闘争に引き摺り込まれるリスクがありますので御注意を。成年後見制度に関する知識は窓口担当者が習得必須なテーマになりつつありますので、勉強しておきましょうね。

 今回はこのあたりで。ではでは。

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