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2021年版「バフェットからの手紙」に学ぶ投資や経営、M&A

世界一の投資家と言われるウォーレン・バフェット (Warren Buffett) ですが、毎年パートナーとも称される株主に手紙を書いています。

その内容は、株式投資や企業経営、M&A等において、有用な情報が数多く含まれていますが、日本でその知見が十分生かされ、活用されているとは言えないのが実情です。

本ブログでは様々なテーマを扱って行く予定ですが、最新の2020年版に始まり、過去に遡って「バフェットの手紙」に出てくるその知見を紹介して行きたいと思います。

1.M&Aや買収で、そこそこの会社(SO-SO COMPANIES)や、中くらいのビジネス(MIDOCRE BUSINESS)の会社を買うな!

 バフェットは「妥当な会社を素晴らしい価格で買うよりも、素晴らしい会社を妥当な価格で買う方が、はるかに良い」と、別の場で語っていますが、素晴らしい会社の株主は、株式を進んで売却したいとは思わないので、買収の矛先は自ずから競争優位性を十分に持ち合わせていない、そこそこの会社 (SOーSO COMPANIES) に向かい勝ちです。その様な会社の買収は、バフェットが経営難に陥っていた繊維会社Birkshire Hathawayの買収で手を焼いた様に、経営管理やコントロールのコストがしばしば膨大に膨らみます。コングロマリット(複合企業)は、会社の完全買収や全株式取得にこだわる為、中くらいのビジネス(MIDIOCRE BUSINESS)を手掛ける企業の買収に陥り勝ちですが、バフェットは株式の一部取得も進んで受け入れる事で、妥当な会社に手を出す問題を回避できていると述べています。

 M&Aに際し、短期的な収益の押上げに止まらず、高成長や高収益を維持するだけの競争優位性や参入障壁、堀(MOAT)が築けている企業か、深い定性分析が欠かせません。

2.CEOは、本源的価値を上回る価格での、自社株買いをやめよ!

アメリカのCEO(最高経営責任者)は、自社の株価水準に関わらず、当惑せんばかりの規模の自社株買いをしているが、バフェットは、会社の本源的価値(Intrinsic value)を上回る水準での自社株買いは、株主価値を毀損するものであり、行うべきではないと繰り返し述べています。本源的価値とは、将来のキャッシュフローなどを踏まえた「理論株価」とも言い換えられるでしょう。日本における上場企業の自社株買いにおいても、適正な株価水準で為されているか、十分な検証がなされなければなりません。

3.アメリカの未来に逆らうな!

アメリカには、建国以来、わずかな資金であっても、アイディアや野心を持つ人達が、新しいものを生み出したり、既存のものに改良を重ねる事によって、夢を超える成功を実現をしてきた、サクセス・ストーリーが数多くあります。アメリカほど人間の潜在力を育むインキュベーターは他になく、深刻な挫折や中断が時にあっても、前に推し進め、それを継続し、アメリカ経済は目を見張らんばかりの進歩を実現してきました。バフェットは、アメリカの未来に決して逆らうべきではないと述べています。

トランプ政権(2017年1月~2021年1月)下では、中国の台頭に国内が一致結束しなければならない状況にも関わらず、南北戦争以来とも言われる分断状態に陥りました。経済に於いても、アメリカの成長を支えてきた移民の抑制、パリ協定離脱に見られる環境など新産業の成長阻害、ラストベルト(Rust Belt、錆びた地)等の衰退する製造業保護など、アメリカの将来に疑念を頂かせる施策が数多く打たれました。けれどもトランプ政権は継続を拒否され、一時的な挫折や中断はあっても、イノベーティブなアイデアや人々の大胆かつ勇気ある行動など、米国経済を支える強みに根本的な変化は何もないと言うのがバフェットの見方の様です。日本企業も、米国での投資や事業拡大に、躊躇することなく、まだまだアクセルを踏み続けるべきと見ているでしょう。


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