Daydream
早春の、ひんやりと優しい風が頬を掠めた。
遠くに見える霞のかかったまだ雪の残る山が、
薄く晴れた空によく映えている。
誰もいない河原の傾斜のある広い芝生に腰を下ろす。
時々行きすぎる人の少し薄くなったコートが
近づく春の気配を告げていた。
深く息を吸い込んで見上げた空に、ふわりと浮き上がるグライダー
ゆっくりと風を切って舞い上がる。
それらと並んで飛ぶトビが、気持ちよさそうに一声鳴く声が響く。
それはたったひととき、でもなぜか永遠のように思えた、よく晴れたある日の昼下がり。
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