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著作権問題から思うこと

漫画『セクシー田中さん』の原作者の芦原妃名子さんがお亡くなりになり、直前にドラマ製作者側との意思疎通の難しさなどをSNSで発信していたことから、著作権についての問題が大きくクローズアップされることとなりました。それは改めて考えるべき非常に大きな契機なのではないかという気がしますので、そうしたことに直面したばかりの私の体験から、恐縮ですが少し述べてみたいと思います。

つい先日、古文書の翻訳本を、電子書籍とペーパーバック(紙書籍)で出版しました。その経験から痛感したことは、「原作者の作品は、もっとも尊敬されなければならない」ということです。

ここからは「翻訳」という観点からの見解です。

翻訳というのはあくまで黒子に過ぎません。扱いはサブでメインは当然原作者です。これは実際に著作権というものに直面してみないとわからない世界ですが、正直なところ、印税が非常に少ないことからも明らかです。

大前提に原作ありきでそれを加工するということになりますので、主に次のような制約があります。

・原作の世界観を忠実に再現すること。
・虚偽の表現は当然ながらNG。
・誤解を招くような表現もNG。
・内容と合致したタイトルをつけること。
・原作者名を明記すること。
・その順列は原作者が前、翻訳者は後。
・表紙も原作を正確に連想させるようなものであること。

など、非常に厳しいのです。

もっとも日本の場合、原作者の権利は70年有効であることも、事前に知っておかなくてはなりません。古文書の場合はゆうに超えていますので、それは難なくクリアできるのですが、ここでも以下のような注意点があります。

・原作者の生存期間および死亡年
・オリジナル作品名および出版年
・それらを証明できる有効な記録

まぁ、本当に厳格な審査があります。権利が落ちたといっても、尊厳は残るということですね。

こうしたことをすべて通過しての出版に至りましたので、初めてのことでしたから約1か月時間を要しました。

この経験から、著作物を扱うことに関しては大変な配慮が必要だということを身をもって感じたのです。ですから、今回の著作権問題で思ったことは、大きな権力を持っている大手メディアは、そうした意識に欠けていたのではないかということです。

著作権問題は当事者にでもならない限り、なかなか自分事として捉えにくいものですが、冒頭に触れたように痛ましいことが起こりましたので、体験談をお伝えしました。

※Amazonで商品を見ると、著作名の筆頭には原作者が表示されます。翻訳者(私)は優先順位が一番最後ですので、クリックしないと出てきません。

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