「苦しかったときの話をしようか」


苦しかったときの話をしようか 森岡毅

転職を考え始めていた時に、先輩から勧められた本の一つ。著者がUFJを再建した有名なマーケターの人だよという話を聞いて、以前NHKの特集で森岡さんを取り上げた番組を思い出して、読んでみようと思った。

全体としての感想は、物語のようでもあるけど、仕事に関するアドバイスという点では、他のビジネス書でも取り上げられているような内容だったと思う。ただこれを彼が当時、大学生の娘さんに書いたことを考えれば、就活に悩む大学生にとってはビジネス書の入門編としてとても良い内容だと思う。


30代半ばの自分でも、自分の強みがなんとなくしかわからない。仕事だと思って割り切ったり、他のことが見えなくて仕事に没頭した結果、ある程度苦しくてもがんばれてしまっている気もする。

今の自分の状況で感じた本の感想としては、どんなに仕事ができる人でも、給与の高い仕事でも悩みは尽きないということ。仕事の成功より、人間関係の方が仕事に影響を与えているのかもしれない。

印象に残っているのは、2つ。

1. 自分の強みは「好き」の中にある
自分が好きなことをしている文脈で、最低50個くらい好きなことを書き出すのだけれど、実際やってみたらしんどかった。本では簡単にThinking, Communication, Leadershipに分けているけど、私自身はThinking、枠がないけどCreatingが多かった。CもLもあるけど、今の職業とあってない(笑)

でも面白いエクササイズなので、やってみることをおすすめする

2. P&G時代のエピソード
アメリカでいじめ?られた話が書かれていた。一方の話しか聞けないため、いじめの程度の大小はあれど、苦労した話が書かれていた。
いじめに打ち勝った森岡さんがすごいというより、個人的には印象に残っているのは、どんなに難しい仕事をしたとしたって、仕事は結局人との関わりを避けては通れないということだった。


強烈に好きなこと、やりたいことが明確な人が羨ましい。きっと、彼らには彼らなりの悩みがあると思うけど、好きなこともぼんやり、かといってある程度の年収や面白みのない仕事もイヤ。めんどくさいけど、これが凡人(自分)の悩みなのかと思う。
きっと、こういう悩みを抱えたまま、定期的に考えや内容の精度をアップデートして生きていくことになりそう。

1つだけ頑張ろうと思うのは、いろんなことを経験すること。まだあと10年は体も頭も動くと思いたい。結婚や出産の予定もないけど、いつかは安定を求めることもあると思うけどまだ冒険してもいい気がしてきた。
願うなら、転職回数とか、年齢とか気にせずに色んなことにチャンスを与えてくれる社会であってほしい。


それにしても、凡人で成功した人の話はないものか。たいてい最初はダメだったけど学歴がいい人、元々頭がいい人、ぶっ飛んだエピソードのある人の成功体験しか見たことがない。やっぱり成功するには、どっか突き抜けるしかなさそう。

誰も読まないと思うし、気も進まないけど失敗している人の話も気になる。本として読みたいのは、自分のロールモデルになるような人の本。自分ですら少数派かもしれないけど、普通の大学をでて、就活に苦戦して、奨学金の返済に苦しむような(笑)人の話。自分の悩みと同じような等身大の人の話が聞きたい。

今月の1冊、終わり。

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