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フレンチぜんざい、つくる。

「ぜんざい」を「オニオングラタンスープ」に見立てて、「フレンチぜんざい」を作ってみました。

芥川龍之介はお酒が飲めませんでした。そのかわり大の甘党だったそうです。

芥川の随筆に「しるこ」という作品があります。
その中で、関東大震災で多くの「しるこ」屋が跡を絶ち、カフェだらけになったことを憂いています。
特に広小路にあった「常盤」というお店の「おきな」がお気に入りだったようです。
さぞかし美味しかったんでしょうね。

芥川は帝国ホテルや精養軒のマネージャーに西洋人に「しるこ」の提供を勧めます。そうすれば彼らが「天ぷら」を愛するように、きっと「しるこ」も愛してくれるだろう(となるかどうかはわからないが……)と言っています。

ニューヨークの或るカフェで西洋人の男女七八人が「しるこ」をすすりながら談笑する光景を、あるいはまたパリのカフェで絵描きがひとり、一椀の「しるこ」をすする光景を芥川は想像するのです。

「しるこ」は今では「おしるこ(お汁粉)」と呼ばれることが多いです。「常盤」の「おきな」は、どんな「おしるこ」だったのでしょう。
それは小倉汁粉《おぐらじるこ》だったといわれています。
小倉汁粉は「みつ煮にしたあずきをあとから加えるなどして、あずきの粒の形が残るように作った汁粉」だそうで、関西人の私には「ぜんざい」と呼ぶ方がしっくりきます。

地域により「おしるこ」と「ぜんざい」の特徴が違います。
関東の「おしるこ」と「ぜんざい」の違いは汁があるかないか。関西では粒あんかこしあんか、となります。
関東で「ぜんざい」と呼ぶものは、関西では「亀山」と呼びます。

ですから「常盤」の「おきな」は私には「ぜんざい」なのです。

「フレンチぜんざい」、ニューヨークやパリのカフェのメニューの一つになる日を楽しみにしています。

   ーーーーー材料ーーーーー
   ゆであずき       90g
   牛乳          60g
   塩           少々
   ブールマニエ
     *バター(常温)  8〜10g
     *小麦粉      小さじ1
   食パンまたはバケット  適量
   とろけるチーズ     適量

ミニクッカーはコンロに小鍋などで代用できます。
動画で使っているグラタン皿は内径10×高さ3cm(ダイソーで購入)です。
ブールマニエのバターは常温に戻すかレンジまたはトースターの余熱などで2〜3秒温めてください。

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