ごめんなさい

誕生日の前日にヨシノちゃんが自殺したと
誕生日の翌日に知りました
誕生日ケーキを焼いてあげなかったから死んでしまったのかもしれない
ヨシノちゃんのお母さんはそう言って泣きました
 
具合が悪いとは知っていたのです
自殺について話し合いさえしていたのです
死にたい
死にたい
繰り返し送られてくるメールに困惑して
いつしか私は返信を疎かにしていました
ご家族と一緒に暮らしているからと
病院にもかかっているからと
 
死んでしまうとわかっていたなら
いえ、そんなことは誰にもわかることではありません
死ぬほどのことなんてないのに
いえ、そんなことは誰にもわかることではありません
生きていたらいいことがあったかも
いえ、そんなことは誰にもわかることではありません
 
誰にもわからないのです
ヨシノちゃんにもきっとわからなかったのです
 
わからない
そのまま
抱えて生きていくことしか
もうできません
結論めいたことは
嘘だと思います
 
わからない
そのまま
抱えるにはとても重たいですが
生き残った人は
そうして生きていくことだけが
本当だと思います
 
死という覆せないできごと
自殺という覆せないできごと
 
抱え続けて
生き延びます
生き延びてみせます
 
ごめんなさい
 
私はまだ
生き延びます
生き延びてみせます
 
生き残った人たちが
そうしてくれることを
願っています

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?