今いる所

街中でふいに見かけた昔の知人のよう
本当にその人であったのか
定かではなくて
 
そんなふうに訪れてくる記憶
一度さよならしたからには理由があり
少し軸を狂わせる
 
でも
ウエハースのように
懐かしさを含んでいたならば
 
溶けつつあるアイスクリームを
痺れた舌で逃してしまわないための
助けにだけなること
 
ガラスの窓越しに見送って
冷えた銀色の器が置かれている
テーブルをしっかり確かめるだけ

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