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地域サッカーチャンピオンズリーグ2020

  "地獄の" と形容される「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)」が終わった。
 今年の決勝ラウンドは、一次ラウンドの各グループ1位で進出した3チームが互いに引き分けて同じ勝ち点で並ぶという稀に見る大激戦となった。2位の成績上位チームとして進出した「北海道十勝スカイアース」は全敗となり、上位3チームの最終順位がその十勝スカイアースから奪った点数によって決まるという過酷な大会となった。
 結局、十勝に5ー0で買った関西リーグの「ティアモ枚方」が1位、同じく3ー0で買った東海リーグの「FC刈谷」が2位となって JFL 昇格の権利を得、1ー0だった関東リーグの「栃木シティFC」は涙を飲んだ。
 1位で昇格(予定)の「ティアモ枚方」はこれからの日本のサッカーを考える上で注目すべきクラブである。というのは、「FC刈谷」や現在のJリーグのクラブの多くのように特定の企業のサッカー部が前身ではなく、また「松本山雅」のように "同好の士" が集まって創ったのでもない、新しい形で設立されたクラブだからである。「ティアモ枚方」は、かつてJリーグのガンバ大阪に所属した3人の選手、稲本潤一・新井場徹・播戸竜二が共同オーナーとなって2004年に設立されたチームである。その後2011年に株式会社化、大阪府リーグから関西リーグと昇格を続け、2020年ついに関西リーグ1位となって地域CLに出場したのである。
 実は、今大会の一次ラウンドで敗退した「沖縄SV」も元日本代表の高原直泰が2015年に設立したチームであり、前述の「北海道十勝スカイアース」も前身は古いものの2017年にそれまでの運営団体が解散、元ヴェルディ川崎のGKだった(故)藤川孝幸、元日本代表の城彰二らが "復活" させたチームなのである。かつてJリーグを牽引した選手たちが、現場の指導者としてだけでなく経営者として地域スポーツの活性化に取り組む動きが生まれていて、「ティアモ枚方」はまさにその先頭を走っているのである。
 しかも「ティアモ枚方」の監督はJリーグの名古屋・新潟で活躍した小川佳純、選手でもJリーグで活躍した田中英雄 - チョ・ヨンチョル - 岡本英也らに加えて元日本代表の野沢拓也 - 二川 孝広も在籍という凄いメンバーなので、 JFL での活躍を大いに期待したい。
 2位で昇格(予定)の「FC刈谷」の前身は、デンソーという世界的に知られるトヨタ系の自動車部品メーカーのサッカー部であった。企業運動部縮小の流れでクラブ化してFC刈谷となり、その後も JFL に所属していたが2009年を最後に東海リーグに降格していた。今回実に11年ぶりに JFL に復帰、長年のライバル「マルヤス岡崎」との "三河ダービー" が JFL という全国リーグの舞台で観られることになるのも楽しみである。
 これら2チームの昇格は、12月8日の JFL 理事会の審議を経て正式に決定される。なお今季はコロナの影響で「降格なし」と決まり、来季は最大18チームと想定されている。一方J3への参加(=JFL 退会)については既に1チーム(テゲバジャーロ宮崎)が決定、もう1チームの可能性も僅かに残っている。仮に、1チームのみJ3へとなった場合、奇数の17チームとなるので偶数化のために惜敗した3位の「栃木シティFC」を昇格させても良いのではないかと考えたりもするのだが・・・。

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