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供給不足が深刻になる建設業界

今年は、流通業界で時間外労働の上限規制が適用されることによるの人手不足が2024年問題としてよくニュースになっていますが、実は建設業界でも人手不足は深刻を影が落とし始めています。

住宅市場は需要が縮小するのですが、供給側も大工、とび職、電気工事従事者、左官、配管従事者といった技能者は減少の一途をたどっており、欲しい時には建てられない…そんな時代に突入しつつあります。

野村総合研究所(NRI)のデータによると住宅技能者は2040年時点で2020年比で約63%の約51万人まで減少する見通しで、特に大工技能者は減少幅の半分以上を占め、2015年の35万人から2020年には29.8万人まで減少しており、2040年にはさらに約13万人まで落ち込む見通しだそうです。

野村総合研究所(NRI)のデータより

減少の主な要因は、「団塊世代」と「団塊ジュニア世代」の引退。

技能者が減っていても需要と供給のバランスが取れていればいいのですが、野村総合研究所(NRI)の調査では、2010年を基準とした場合、2040年に住宅着工戸数が33%減であるのに対し、住宅建設技能者数は50%減と、需要よりも供給の方が多く減少する見通しです。

住宅建設技能者1人あたりの新設住宅着工戸数は、2010年時点では年間約0.8戸/人でしたが、2020年時点ですでに約1.0戸/人まで上昇し、2025年以降は約1.1戸/人という深刻な人手不足状態に陥ります。

野村総合研究所(NRI)のデータより

住宅業界は繁忙期と閑散期の差が激しいのですが、これからは建てたい時に建てるから、建ててくれる時に建てるという時代に入って行くのかもしれません。季節別のムラがなくなるのは経営上はいいのですが、土地から購入して家を建てるお客様の場合にはなかなか着工できないことによる二重ローンの発生や貸家なら需要が高まる4月までの空室リスク、新築期間の短縮といったデメリットが発生していきます。

引き手数多による技能者の給与水準アップや、季節別のムラがなくなるのは業界的には好ましいのですが、お客様あってのことですからバランスよく両者にメリットがあるような変革が求められているんでしょうね。

当事者でもある私は、大工さんや左官屋さんの減少する理由は大変な仕事の割に収入が上がらないことと、技能を活かせる仕事自体が減っていることだと思います。ですから茶室建築を復活させ、技能を活かせる場を作り、技能が高いから収入も上がる…そんな業界にしていきたいと思ってます。

出展元 野村総合研究所(NRI)


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