自分の「性」と向き合う ~三島由紀夫『仮面の告白』
『潮騒』に続いて、三島由紀夫『仮面の告白』を読んだ。
主人公が、自分の性的な趣向に関して、幼少の頃から20代の現在までを振り返り、書いた内容になっている。
幼い頃から、無性に惹かれるもの。
思春期に強烈に憧れた男性。
繰り広げられる甘美で残虐な妄想。
女性に欲望を感じないという絶望。
前に読んだ爽やかな『潮騒』は、三島らしくないという。では、他の作品は、どんなにドロドロしているのか? とかまえて読んだ。
が、内容はさすがに爽やかとはいえないけど、純粋で素直な文章に思えた。
特に思春期に、自分の「性」に対して、戸惑ったり、悩んだりは誰でもあること。男性でも女性でも、同性愛者でも同じ。生きていく上で、「性」はかなり重要な位置を占めており、避けては通れない。
そのことを真正面から書いた小説に思える。
一見、同性愛というマイノリティな内容に見えるが、多くの人に共通する、普遍的なテーマではないか。
少なくとも私は、自分の学生時代を思い出しながら読んだ。