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非現実の世界

約1年前から、少しずつ心がボロボロになっていった。
目が覚めても気力が無い。起き上がれない。
昼は、天井を見つめるかスマホを見るか、眠って悪夢を見る。
夜は毎日、消えたい、死にたいと布団の中で泣いていた。
ほぼ引きこもり生活でした。


そして、集中することが難しくなった。
勉強ができない、本が読めない、映画が見れない、言葉が出ない。

7月、大学の定期試験前。
勉強するために図書館に行った。
とても眠たかったので、とりあえず寝てから勉強しようと思ったら、2時間も過ぎていた。
いざ勉強しようとすると、イライラしてきて、落ち着いていられなかった。すぐに帰った。

初めての感覚、体験だった。流石に自分やばいのかもとようやく気づいた。その日の記憶が今でも鮮明に思い出せる。

他人の言っていることが理解できない。
ただ頭の中に言葉が入って通り抜けていく。
噛み砕いて落とし込めない。できても、今までの何倍もの時間がかかる。
試験勉強ができなくなって単位落とした。
車校の筆記試験もも仮免・本免とも一回ずつ
落ちた。


9月上旬。
焦って応募して合格した大学のフィールドワークに参加した。当時の自分には、大きな挑戦だった。怖かった。
ただでさえ体調も精神も不安定なのに、知らない人と知らない土地で過ごしフィールドワーク、勉強をする。


18年間、全て完璧にやってきて周りからの評価を得ていた、完璧な自分だった。
いきなり何も頑張れなくなった自分は、価値のないダメな人間だと思った。

逃げるのはダメ、弱いからだ。もっと努力ないと。と、今まで自分を自分で苦しめてきた。
休学するのも逃げだと思っていた。
留学に行くわけでもないのに、精神病んで休学するなんて恥ずかしい、人生終わりだと思ってた。

でもこのフィールドワークに行って、人生には色々な選択肢があることを知った。

夜、海の近くで星を眺めながら。
休学してもいっかと思った。

レールから外れるけど、もういっか。
ずっと突っ走って来たんだから、そろそろ休もうよ。

自分を許すことができた。


9月後半、秋学期。
もう諦め半分、大学に行って授業を受けた。
やっぱり、頑張らなければいけないという気持ちと戦ってて、休学することを前提にお試し授業に行った。

3限受けた。
授業は頭に入ってこないし、楽しみにしていたグループワークはなぜか楽しくなくて疲れた。人と喋ること、関わることが怖く感じていた。
悲しかった。


その日の夜、休学を決めた。

生活リズムを治しつつ、新しいバイトや短期バイトを始めたり、ボランティアに行った。
なるべく外に出る機会を増やした。

3月。
主治医に、3ヶ月間離島にインターンしにいくことを伝えた。怪訝そうだった。
一応休学する時、診断書を出してもらったけど、
私は適応障害なのか、鬱なのかどっちなんだろうか。どっちでもなく、ただの体調不良なのか。止められなかったから、様子見なんだろうか。今でもわからない。この体調不良に名前をつけて欲しい。

4月。
大きな挑戦。
初めて親元を離れて、知らない土地で知らない人と暮らす。仕事をする。

島に来てから、前の生活と比べて信じれないほど毎日がとても楽しくて充実している。

初めの頃は、話すこと、人に慣れるまでしんどかった。
久しぶりに多くの人と話した。
自分の気持ちを外に出す作業をした。

今は、やっとそれに慣れて、素の自分が出せてきた。

朝、7時か8時までには起きて
12時前には寝る。
太陽の光を浴びて、海の風を、島の大自然を
感じる。

人と接することの楽しさを久々に感じた。
職場の人、島留学に来ている人、お店や近所で出会う人。暖かい気持ちでいることができる。
今までは壁を作っていたのに。


喋りかけたら魚や八朔をくれたり、
あいさつしたら、世間話をする。
お家にお邪魔させていただいて紅茶やたけのこ、ふき、おやつをご馳走してもらい、帰りにお花をもらう。
課長からジャムをもらう。



ずっと嫌いだった打ち上げとかお疲れ様会という名の集まり、飲み会が楽しくなってきた。

何でこんなに楽しいんだろう。
自分が傷つきたくないから、ずっと人と距離をとってた。
ここでは、みんなが受け入れてくれる暖かさがある。島留学生だからかもしれないけど、大学以外の場所でこんなに楽しい場所があるんだと知れた。

現実だけど、
この島での暮らしは非現実の世界。

本土に戻ったら、また忙しない窮屈な生活に、大学に戻ると思うと少し怖い。


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