深川芸者の心意気をクレーム対応に活かす

昭和63年に玉三郎がお富を演じ、切られ与三郎を先代の団十郎が演じた
『与話情浮名横櫛』(よわなさけうきなのよこぐし)を見た
深川芸者のお富と
やくざのきられ与三郎が再会するシーン
蝙蝠の安という町のごろつきにお金をせびられて、それを断るシーン

玉三郎になんともいえない色っぽさがあるね

私は玉三郎の何が好きって深川芸者を演じる玉三郎が一番好きなんである
名月八幡祭 とか。
粋でいなせできっぷもよく、少々の荒くれ物は軽くいなせる度胸の良さ

それがこの芝居にはよく出ていて好き
玉三郎さんはもちろん美しくてどんな役でも素晴らしいんだけど
お軽も阿古屋も、揚巻も
運命に翻弄されるひたむきな女性。気品と教養にあふれた花魁のナンバーワン
それぞれ素敵だけれど
でも私は個人的には深川芸者が好き
最高級の花魁になってしまうと、豪華な衣装と様式美にかくれて
素の色っぽさ、が少し隠れてしまうような気がするので。

店の使用人に明らかに迫られても、「やめてください」と正面から言ったりせずに
ちょっとその気にさせるようなあしらいのうまさ。

町のごろつきが大声出して金を無心しても
「大きな声をお出しでないよ」
「お断りさせてもらうよ」
と落ち着き払って言える貫禄。

これは私のこれからのクレーマー対応にも生かさせてもらうかと思った
「ばかやろー!どうしてくれるんだ!」
と怒鳴る客には、お富さんになったつもりで
悠然と、ゆったりとおちついて
「お客様。大きな声を出されるのはやめてください。周りのお客様がびっくりなさいます」
とにっこり笑おう。
「なんだとてめー。おまえがおかしなこと言ってるからこっちはどうしてくれるって聞いてんだよ
文句あるのか」
「ですからお客様。。大きな声を出すのはおやめください」
これで時間をかせぐ

論理的に説明するのはそのあとで。
これがわたしの「深川芸者作戦」

与三郎:え、御新造(ごしんぞ)さんぇ、おかみさんぇ、お富さんぇ、
いやさ、これ、お富、久しぶりだなぁ。

しがねぇ恋の情けが仇(あだ)
命の綱の切れたのを
どう取り留めてか 木更津から
めぐる月日も三年(みとせ)越し
江戸の親にやぁ勘当うけ
拠所(よんどころ)なく鎌倉の
谷七郷(やつしちごう)は喰い詰めても
面(つら)に受けたる看板の
疵(きず)が勿怪(もっけ)の幸いに
切られ与三と異名を取り
押借(おしが)り強請(ゆす)りも習おうより
慣れた時代(じでえ)の源氏店(げんじだな)
その白化(しらば)けか黒塀(くろべえ)に
格子造りの囲いもの
死んだと思ったお富たぁ
お釈迦さまでも気がつくめぇ
よくまぁお主(のし)ゃぁ 達者でいたなぁ
安やいこれじゃぁ一分(いちぶ)じゃぁ
帰(けぇ)られめぇじゃねぇか。

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