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2024春アニメ雑記 ~特定描写について色々と語る~【24/6/9】

3日ぶりの更新になります。今期アニメを、特定の描写にスポットライトを当てて語ります。


物語における『起伏』の必要性

先日のこの記事あの記事に続き、またシャニアニ批評関連の話題になるが、何故シャニアニはつまらないのか再度考えてみた。結果、ある1つの答えにたどり着いた。内容における起伏の無さである。

今期放送されている色々なアニメを見ると、主要登場人物や爆弾を抱えていたりピンチに遭遇したり(例えばユーフォにおけるオーディション問題や真由の存在、ヨルクラのネットの悪意に晒されるやつ、そしてガルクラの仁菜の親子問題や桃香の元所属問題など)と、目標達成のために解決しなければならない山場があるいう点である。
ガルクラはこの問題を先月放送の10話で概ね解決した一方、ユーフォやヨルクラは終盤2~3話でこの問題解決へと向かうといった形で、今後どう折り合いをつけるかに注目が集まる。いずれにおいても、山場があるからこそ続きが気になると感じさせてくれるし、登場人物やそのグループを応援したいという気持ちにも繋がる。

ガルクラ10話では親子問題を描いた一方、仁菜の目指す道を改めて明確にした点も高く評価したい

だがシャニアニはどうだろうか。本作の目標であるW.I.N.G.については、初参戦であるが故に各グループで挫折したムードが描かれていたが、基本的に登場人物間が葛藤しあうような描写は無くあたかも仲が良いだけで終わっていて、本当に彼女たちは成長しているのか、どこまで成長しているのか?という疑問にちゃんと受け答えしていないところがある。また283プロの事業規模や内部事情が他アイマス作品のそれと比べて不明瞭であるのも相まって、彼女たちに対する応援の熱が個人的にイマイチ上がり切っていない。そして先日の記事に繋がる話だが、劇伴においても起伏を作ろうとしていないのも問題である(作曲担当の三澤さんは動画工房作品を中心に優秀な劇伴を手掛けていただけに、本作の劇伴は残念だと感じている…)。
そもそもシャニアニの場合、ユニット主義であるが故にキャラクターひとりひとりにあまり目を向けていないという、そもそもの問題点を抱えているのもある。例外として放クラがメインを務めた4話では、ムードメーカ的存在だった果穂ちゃんが中心となり、直前に発生したトラブルをチャンスに変えてライブを成功へ導いたという話で、この回に関しては例外的に面白く感じた(というよりは、4話の成功例をどの話でも再現できていないのが致命的だと感じている)。彼女が本作における数少ない光として、今後の挽回に期待したい所ではあるが…。

4話(放クラ回)が面白かった理由に、果穂の強いキャラクター性があったからこそと考えている
そして、彼女がまだ12歳というのが尚更驚きである(年長者の皆さんもう少し頑張りましょう…)

他、こちらの記事では、きららアニメなのにシリアス?なんて事を書いていたけれど、登場人物や所属する集団の成長を描くという点では、(冒頭のツイートの通り)美少女アニメであってもある程度のシリアスやギスギスは必要な要素であると気付かされてしまった。そんな僕は昔はギスギス嫌々シリアス嫌々なオタクだったけれど…。


『3DCG』を採用する意味

序盤の「中指」のセンセーショナルさで目を引いた本作だったが、
今や内容やビジュアル等で総合的に勝負できている。

今期の話題を掻っ攫う『ガルクラ』は内容の王道性や成長物語としての品質だけでなく、作画(3DCG)においても一歩上の行く作りとなっている。手描きメインでやっている東映アニメーションがこんな隠し球を持っていた(同社作品について、個人的にはダイの大冒険の戦闘シーンで手描きと並行した「違和感のない」3DCGの使い方が良かったと感じていた)という驚きもあるが、フレームレートの高さも相まって、女の子たちのリアルを描くうえでの大きな一助になっていると感じる。

個人的に、3DCGで強い印象に残っている作品として「宝石の国」(2017秋放送、制作:オレンジ)がある。放送当時は本当にTVアニメかと疑うレベルの高品質な3DCGで、それを生かした繊細かつダイナミックな戦闘シーン、そして(人を選ぶ描写がありながらも)神秘的な世界観に強く惹かれた。個人的には、今でも本作が国産3DCGアニメの到達点と感じているが、ガルクラが本作と同じレベルに到達したんじゃないかというくらいに(作画方面で)印象に残りつつある。
ただ、ガルクラはあくまでバンドアニメであり、アクションシーンは前者よりも少なめである。だが実写により近い3DCGであるが故に、楽器などのモノを扱う際の細かい指先の動きや、蛍光灯をぶん回すようなアニメ的な描写に、手描き以上に強い訴求力を感じる。そして本作のトゲトゲしい作風も相まって、まさに3DCGでの制作を選択して正解だったのではと感じている。

一方『シャニアニ』も、3DCGアニメで実績十分(個人的には「空挺ドラゴンズ」の印象が強い)のポリゴン・ピクチュアズを迎えているが、やはりガルクラの存在もありクオリティとしてはワンランク下がるのかなという印象が否めない。同社においては手描きの延長上で3DCGの作画を作りつつ、輪郭に気を配ることで高級感は出しているものの、フレームレートでは多くの3DCGメーカーと同じく手描き基準に落としている特徴がある。放送クールこそ悪くなれば及第点レベルの評価を下せたが、如何せんライバルの存在が…。
ライブシーンでは3DCGの強みを生かして違和感のない演技をアイドル達に提供できているが、今の所それ以外のシーンで3DCGが効果的だった描写は見られていない(決して質が悪いというわけではなく、何故3DCGを採用しているかの理由を見いだせていない)。それどころか道路交通法に違反する描写があったり、そもそもアイドル達の感情の起伏が薄いがために「逃げ」の目的で3DCGを採用しているのではないかと疑ってしまう。


他、今期アニメでは気になる描写(ネットの悪意描写や特殊EDの使い方等)がありますが、文字数がさらに長くなりそうなのと、最終話を見届けてからまとめたほうがいいと思ったので後日取り上げようかと思います。

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