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終身で行こう!

「いつまでやられるんですか?」
ステージの袖で出番を待つ30代の女性が、ヴァイオリンを小脇に抱え何気なく僕に質問を投げかけてきました。

えっ!?いつまでって、考えてもいなかった。
僕の口から出たのは、
「いや、死ぬまでですけど」

「そ、そ、そうですよね」とちょっとどぎまぎした感じで答えられたので、
僕は、「しまった、もっとユーモアを交えて答えればよかった。」と後悔しても遅かった。

僕は、時々素っ気ない対応で引かれることもあるのです。
その後、彼女の出番となり「頑張ってね」と送り出したが、固くなっていたようで少し責任を感じました。

終身について考えてみる

こんにちは、こめまるです。

上記のエピソードは、今年4月30日(土)横浜の上大岡駅近くのホールで行われたヴァイオリン教室の発表会での一幕。

終身とは、一生の間という意味。

昭和では、サラリーマンには終身雇用なんて言葉が使われていて、これは会社が倒産などしない限り、社員が望めば定年まで雇用しますよ、という意味で死ぬまで雇うという意味ではありません。

ただ、学生の頃、この言葉が嫌いで、一つの会社に入ったらもう一生そこで働かなきゃいけないのかと思い暗い気持ちになったものです。

また僕が入社した会社は社員200名程度の中小企業でしたが、離職率の低さを売りにしていました。

周囲の友人や仲間たちなどは、辞めたくても辞められないヤバい会社だったりして、なんてというやつもいたくらいです。もっとも入ってみるとそんなことはなかったですが。

さて、最近65歳になった僕は、日本の男性の平均寿命からみると、8割がた生きた計算になります。かと言って、残りの2割は、あるかないかわかりません。
つまりいまやっていることが終身になる可能性が大いにあるわけです。

ということで、今回は、終身について考えてみました。

終身にまつわるお話し

僕は、クラシック音楽関係のブログをいくつか運営しているので毎日音楽家の生涯などをチェックしています。

音楽家でも器楽奏者や声楽家などは、高齢による技術や体力の衰えから引退もあります。しかし、自分自身では音を出さない指揮者は、高齢になっても活動を続け、生涯現役を続ける人も多く、むしろリハーサル中や実演中に亡くなる方もいるくらいです。

例をいくつか挙げてみます。

オーストリアの名指揮者カール・ベーム(1894-1981)。
特に70年代のウィーン・フィルとの来日公演は、いつも話題になり当時帝王と言われたヘルベルト・フォン・カラヤンと人気を二分した人でした。

壮年期までは、その厳しく鋭い眼差しでオケのメンバーをビビらせていたベームも70歳も後半になってくるとその音楽は穏やかになり、「じいさんも年取ったな」と陰口をたたかれるようになったとか。

その頃のウィーンフィルと録音したベートーヴェンの交響曲など、以前の厳しく堅固な演奏は影をひそめ、たおやかで、気の抜けたビールという感じもしないでもない脱力系の演奏でした。

そんなベームでも、晩年ヨタヨタしながらも関係者に「ウィーン・フィルともう一度モーツァルトの交響曲全集を録音するつもりだ。」と語り、周囲を驚かせたそうです。
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カール・ベーム ベートーヴェン、ブラームス、モーツァルト&シューベルト交響曲全集

90歳を過ぎても現役を続けた指揮者の朝比奈隆氏(1908-2001)は、確か晩年まで6回も7回もベートーヴェンの交響曲全集を録音しています。

ただ、これだけでは満足の行く演奏なり録音ではなかったと思ったのか、80才代後半のインタビューでは、ベートーヴェンの交響曲は、演奏する度に新しい発見があり極めつくすことはできない、という内容を語っていました。
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朝比奈隆 ベートーヴェン交響曲全集

フィラデルフィア管弦楽団を一流にオケに育てたり、ディズニー映画にも出演したレオポルド・ストコフスキー(1882-1977)はもっと凄かった。94歳の時にCBSコロンビアとなんと100歳までの6年契約を結んだそうです。
ストコフスキーも凄かったけどCBSもよく受けたものだ。多分押し切られたのだろうけど。この話を聞いた時、ああ、ストコフスキーはスタジオで死ねれば本望だと覚悟したのだろうと思いました。

人生100年時代に惑わされない


数年前からよく使われる言葉「人生100年時代」。
言葉の並びがいいというかインパクトがあるからかよく使われますが、僕は個人的に好きではありません。
まあ、以前よりは100年生きる可能性が増えたとは思うのであながち間違いとも思いませんが。

生まれたからには、死ぬまで生きるわけで、その長さは人によってまちまちで、つまりなんでもいいけど、一生続けられる好きなことをやり続けることが一番ハッピーだと思っています。

幸いにも僕がいまやっていることは好きでずっと続けることができます。
つまり終身で出来るのです。
また始める時もこれなら一生できるな、という思いもありました。

・アフィリエイト(媒体はブログなので収入の如何に関係なく書くことは続けることができる。しかも音楽ネタ中心なので素材は無限)
・ニト〇のバイト(アルバイト・パートの雇用に年齢制限はない。但し、お店側から高齢のため頼むから辞めてくれと言われ、契約を終了される可能性はある、かも)
・合唱、ヴァイオリン、ギター(趣味なので誰に気兼ねなく死ぬまで出来る)

最後に


おじさんLCCに入会して1年が経った時、会を運営するプロティアン㈱代表のみふみふこと金澤美冬氏から連絡が来ました。
何かなと思ったら、年会費の支払い方法の変更についてのお知らせでした。

彼女が更新してくださいますよね?というので、「もちろんです。終身でお願いします。」と答えました。

「そうですか、ありがとございます、良かったです。」と答えていただきました。
しかし、後で考えるともしかして、「えっ!終身!まさかおじいちゃんになっても居座るつもりじゃないでしょうね。」と思われたかもしれない。知らんけど。

まあ、こっちはおじさんのまま「終身で行こう!」のつもりです。

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