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田んぼの構造を観察する② 美味しいお米の育てかた#031

田んぼそのものを見る


田んぼそのものの歴史と構造の続きです。


使用する田んぼで、以前はどのような栽培をしていたかなどを

前の使用者さんや地主さんに聞いてみましょう。



田んぼの生態系に関しては

化学肥料を使用していたのか

有機肥料を使用していたのかなどの情報は

実際に栽培を開始する上で重要です。


過去の履歴について整理してみると

思いがけない発見があったりもします。


過去の肥料分が自然のバランスを崩す


私が自然栽培を始めて3年経った頃です。

代掻きした田んぼに赤い油のようなものが浮いていて

びっくりしたことがあります。


近隣の栽培者に聞いたところ硫安であることが分かりました。

耕うんや代掻きを繰り返していく中で

土中の深い部分に溜まっていた硫安が

溶け出してきたのです。


こういった過去の影響を代謝していくことによって

虫や病気が発動しない圃場の性質に変化していきます。


動物性の有機肥料について


また、家畜糞を肥料として多用してきた田んぼは

土壌の生態系が長い時間その性質に傾いていることがあります。


例えば、稲が動物性の有機肥料を代謝するプロセスを観察すると

最初はスピーディに生育しているように見えても

ある程度育ってから虫が多く発生したり

枯れてしまったりすることがあります。

自然栽培の歴史が長い圃場では

これらの症状はほとんど起こらなくなっていきます。



一方で動物性の有機肥料は分解が遅く

温暖な地域であれば比較的早いものの

寒冷地などでは8年~10年

もしくはそれ以上の時間を要することも珍しくありません。


これらの性質を

東洋医学をよく知る人は

漢方薬の効能の影響の出方に似ていると話します。



また意外にも、化学肥料を使用していた田んぼは

有機肥料を使用している田んぼに比べて代謝が早く

自然のバランスのとれた生態系の生育に

シフトしやすい傾向があります。



いずれにしてもこういった肥料の影響を知り

植物の代謝を過度に促進する要素を

引き算していくこと。


それが自然栽培のクオリティを獲得する

地道で、しかし確実なプロセスになります。


自分の感覚で確かめる


実際に、田んぼのいくつかの地点を

硬盤のある所まで掘ってみることをお勧めしています。


出てくる土質を確かめ、匂いを確かめます。

水質にもよりますが

自然栽培を継続していくと無臭に近づいていくか

匂いはあるもののあまり嫌味に感じなくなる傾向があります。



匂いがきつい場合はまだ肥料分などが残っている可能性があり

場所によっては数年は影響が目に見えてわかることがあります。


もちろん科学的な分析も

土壌の状態を知るのには参考になります。


そういった分析だけでなく

自分の感覚で確かめ経験値を積んでいくことも

重要なスキルだと考えています。

また、土質が粘土なのか砂なのかでは

だいぶ性質が違います。


砂地では、稲の根や藁が分解してできる腐植や

さらに分解の進んだ団粒構造の整った土壌が保持される時間は

短くなります。


粘土質では逆に腐植が保たれる時間は長くなります。


また、過去の肥料分を長い間温存しているのも

粘土質圃場の特徴です。


続く

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