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#5.全ては自分次第で、そう思ったら、そうだった

子どもの頃、大人になるのが怖かった。なぜかというと、周りの大人たちは皆、ため息ばかりついて、不幸せそうな顔をしていたから。笑顔を見せるより先に、ため息を漏らしては他人の悪口を言ったり、誰かの成功を妬んだりする姿ばかりが目に映っていた。だから、私の中で「大人」という存在は、暗くて重くて、楽しさなんてどこにもないものだと勝手に決めつけていた。

そんな大人たちを見て、「私はああならないようにしよう」と心に決めていたけれど、それでもどこかで諦めていた部分もあった。もしかしたら私も、大人になったらあの人たちと同じような生き方をしてしまうんじゃないか、と。

もっと楽しく、もっと気楽に生きたいと願いながらも、厳しい現実が続くうちに、「もうどうにでもなれ!」と投げやりになったこともあった。友達が人の悪口を言うのを正義感で止めたら、次の日から無視されたこともあったし、ずっと憧れていた先輩の裏の顔を知り、自分の「好き」や価値観すら信じられなくなった時もあった。

時には「人の心が顔を見ただけでわかればいいのに」と思ったこともあるけれど、もしそんな力があったら、きっと生きるのが辛くて仕方がないだろう。ある程度の鈍感さや、全てを理解できないもどかしさが、今の私を守ってくれてるんじゃないかと思う。

高校生になって仕事をするようになり、多くの大人たちと出会う中で、私の「大人」に対する考えは変わっていった。優しくて、温かくて、時には厳しいことも教えてくれる大人たちがたくさんいた。家族じゃないのに、まるで家族のような距離感で接してくれる人たち。そんな大人たちと出会い、何度も助けられた。

小さい頃、母が「笑っていれば、いいことがあるよ」と教えてくれた意味がようやくわかった。辛い時でも、しんどい日でも、無理にでも笑って、機嫌よく過ごしていたら、周りには優しくて素敵な大人たちや友達が集まってくる。そうして気がついた。人は自分が見たいものしか見えないんだ、と。嫌なことばかり考えていると、自然と嫌な出来事に目が向くし、「幸せだな、ありがたいな」と思えば、幸せで感謝すべきことに気づけるようになる。

私は小さい頃、他の子と幸せを比べては、「私は劣っているな」とか「みんなと同じくこれができないってことは、幸せじゃないんだ」と思っていた。でも、幸せの基準は自分でしか決められない。誰かと比べて測るものじゃないんだ。そう気づいた時、ようやく心が軽くなった。

結局、幸せは自分の内側にしかない。
他の誰でもない、自分自身がその答えを持っている。
だから、もう誰かと比べる必要なんてない。

これから先も、自分なりの幸せを大切にしていきたい。


                      No.5

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