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ドライブマイカー

 どうもkomeiです。今日は濱口竜介監督の「ドライブマイカー」について書いていきたい。三時間近くの大作だが、全くその長さを感じさせない非常に素晴らしい映画だった。

あらすじ

 最初は夫婦が主人公の場面から始まる。脚本家の女と、舞台監督・舞台俳優の男の夫婦。セックスしながら物語を語る女と、それを記録する男。ふたりの夫婦生活は順調に見えたが、男は女の不倫現場を目撃する。それを詰ることも起こることもせず、日常を守るために見て見ぬふりをする。ある日、女は夜に話があると男に言い、男は関係の終焉を意識する。しかし、帰宅すると、女はくも膜下出血のため亡くなっていた。

 次の場面は二年後。広島の演劇祭で舞台を監督することになった男は、愛車で広島へ向かう。男は、車内で舞台の流れを確認するのが習慣で、自分で自分の車を運転することに拘っていた。しかし、演劇祭側が用意した若い女性のドライバーに運転を任せる必要があった。渋々彼女をテストすることになったが、思いがけず気に入り、彼女に任せることになった。

その演劇祭には、亡くなった妻と一緒に仕事をしていた俳優も参加し、男の監督する舞台で主役を張ることになる。ふたりは亡妻のことを語り合う。

ある日、男と運転手の女は演劇祭の主催者側の人に家に招かれる。彼は韓国出身でありながら、日本語や韓国手話も話すことができた。手話を用いて、難聴の女優とコミュニケーションをとっていたのである。
家に行くと、その女優と彼が夫婦であることが判明した。ふたりの話を聞いた帰り道、車内で二人もお互いの話をするようになる。

俳優が事故を起こした。主演の女を助手席に乗せていた。
彼らは遅れて稽古にやってきて、稽古後に彼は男に謝罪する。

どこかへ走らせてくれという男のリクエストに、女はごみ焼却施設へと車を走らす。さらにそこでふたりは身の内を話し合う。。。。

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男と運転手の女

感想

あらすじを書くのに飽きてしまったので、感想に移っていく。
じつは、この映画を観たのは2022年の夏である。今は2024年の春だから、もうすぐ二年が経とうとしている。
書きかけで残していたファイルを、今になって追記しているのである。

それはさておき、感想を覚えている限りで書いていく。
まず、濃密だった。およそ3時間の対策なのに、本当に1時間半くらいに感じた。
その要因として、展開が多かったこともあるが、考えることが多い映画といえるのかもしれない。
それは決してネガティブなことではなく、ポジティブなことである。

次に、たくさんのレイヤーがある脚本だった。村上春樹の短編集の一つの作品からとった題名。
ただ、同短編集の他の作品の内容も組み込まれている。
また、劇中の演劇は、チェーホフの戯曲『ワーニャおじさん』であった。ワーニャおじさんと男が重ね合わされていた。ソーニャは運転手の女ということなのだろうか。
そこに、濱口竜介の要素が加わっている。

音楽もよかった。石橋英子が担当した。

西島秀俊が好きです。チームバチスタの二作目のジェネラルルージュの凱旋が一番好き。

観た直後の感想

フィルマークスに書いた当時の感想を見てみた。
個人的ベスト邦画であるという。ただ、邦画というより日本人監督の作った洋画というイメージもある。

前述のとおり、多層的なストーリーの作りの深さに感動したらしい。

また、映像の美しさにも感嘆している。これは一種のロードムービー的な要素も持っていると言えるのではなかろうか。

ラストの終わり方が判らなかったらしい。運転手の女が、韓国で男の車に乗り、買い物をしているシーンである。
買い物の量としてはだいぶ多く、数人分、少なくとも二人分であると考えられる。
また、主催者と妻の飼っていた犬も同乗していた。
これらのことから、四人は何らかの関係を保っていると考えられる。
『ワーニャおじさん』のラストのセリフにあるように生きているのではないか。(どういうセリフか忘れたのでもう一度みてみたい)

 男と運転手の女の関係がどうなっているのかわからないというコメントを    ネット上で多く見つけた。一緒に過ごしているとしたら、子どもとしてなのか妻としてなのかという。
私の考えとしては、おじさんとして男は運転手の女に接しているのではないか。絶妙な距離感を保っているのではないか。
そもそも、この映画における車は人生そのものとみる。その中で、自分がハンドルを握っていないとすまなかった状態から、人に預けることができるようになった。そういった関係なのではないか。

さらに、喋りすぎていないのがいいと言っている。雄弁な映画より寡黙な映画の方が好みなのである。

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西島秀俊と三浦透子

最後に

観てから二年近く経っても、印象の強い映画である。名作。
近々濱口竜介の新作が発表されるので、早く観に行きたい。
また、今日新文芸坐で「ハッピーアワー」のオールナイト上映があるので、観に行きたい。

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