ポルターガイスト3
小学校五年生の頃の話。
10月頃だったと思いますが、ある朝学校に登校すると、クラスがざわついてました。
何事かと聞くと、数年前、ある生徒が授業中突然意識を失い、その時たまたま学校前のバス停に停留していたバスにその生徒を乗せて病院まで搬送してもらったが残念ながら死亡、生徒の霊は今もその時の机に座り続けており、呪いの机と化し、そして今まさに僕が使用している机がそれで、ゆえに僕はいつ死んでもおかしくない状況であり、ついでにその生徒を搬送したバスの運転手が今僕と同じクラスのナオキくんのお父さんだったという衝撃の展開でめっちゃパニック。僕が。
授業も身に入らない、休み時間になると誰彼構わず机を交換してくれと交渉、もちろん誰も応じてくれない、先生は信じてくれない、立って授業を受けるわけにもいかない、もう次の瞬間には死ぬかもしれないという恐怖、戦場以外で味わった事ありますか?
成績も結構落ちてきたと記憶しています。
あるとき霊感があると噂の同じクラスのS美ちゃんが声をかけてきました。
「呪いを解きたいから、放課後あんたの机でポルターガイストさんをさせて欲しい」
当時僕の学年では「守護霊さん」とか「キューピッドさん」が流行ってました。
いずれも「コックリさん」とやり方はほぼ同じです。
鳥居を書いて五十音を書いて、違いといえばコインではなく鉛筆を使っていた事でしょうか。
しかし「ポルターガイストさん」というのは聞いた事がなく、そもそも「◯◯さん遊び」で除霊ができる話も聞いた事がありませんでした。
でもこっちはなんでもいいから呪いを解いてくれ!!なわけなのでもちろんお願いしました。
翌朝登校すると、S美ちゃんの「やっといたから」という一言で、不思議な事に僕の恐怖心はなくなっており、さらに言うとその日を境にクラスのみんながその事を忘れてしまったかのように話題にしなくなりました。
「呪いが本当に解けたんだ!」と、ものすごく安心した事を覚えています。が、不思議な事にこの話を覚えている同級生は1人もいません。
同窓会などでこの話題を出しても、みんな僕の冗談だと思っているのです。
S美ちゃんとは中学まで同じ学校でしたが、この一件以来特に話す事もなくなって今に至ります。
2020年現在、彼女に接触しようと思えばできなくもないので、真相を聞いてみたいところではありますが、もし当時、いわゆる「設定」で霊感少女を演じていたのであればこっちがウギャーっ!!っとなんだか叫びたくなるような妙な赤面状態になりますし、事実ならそれはそれで怖い。
すっきりしないけれど結構好きな小学生の頃の思い出です。
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