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錆の種類

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◆赤錆

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 鉄、鉄鋼、銅、銅合金で見られる。

 酸素によって、表面にできる酸化水酸化鉄のこと。
 赤サビは進行がとても早く、少し赤サビができるとそこからどんどん広がっていく。
 鉄鋼材料に発生する赤錆は、材料を少しずつ侵食していき、進行すると材料を劣化させやがてはボロボロになる。

 銅に発生する赤錆は酸化第一銅を主成分とし、この錆はもともと保護皮膜として銅の本体を守る。錆自体が耐食性を持っており、大気中のほか水のある場所や海水に対しても腐食をある程度防ぐ機能を持つ。

※鉄にも例外があり、赤錆がさらに変化し安定した保護皮膜のように材料自体を守ることがある。
例えば鉄鋼のなかでも、耐候性鋼はもともと表面に耐食性の錆層を形成し、それによって錆の進行を極めて遅くする。当初は赤錆であった部分が、やがて「こげ茶色」や「黒に近い褐色」といった錆に変化して材料を守る皮膜となる。

◆青錆

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 青錆は、緑青(ろくしょう)の名称で知られる銅に見られる錆。銅の錆はまずは酸化銅だが、その上に形成される。
 緑青には耐食性があり、銅を腐食の進行から守る保護皮膜としても機能する。

◆緑錆

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ニッケルは、錆に強い耐食性の高い金属で、多くは、ニッケル合金の形でインコネル、ハステロイ、モネルメタルなどの金属として使われている。身近なところでは、50円玉や100円玉はニッケルを含んだ銅合金(白銅)。500円玉も洋白と呼ばれる銅合金が使われており、中にはニッケルも含んでいるが、これらが錆びた際、銅に由来する緑青なのか、ニッケル自体の錆かは見分けが困難だ。

 鉄における緑錆というのは、酸素の少ない場所にて稀に見られるもので、空気に触れるとすぐに赤褐色の赤錆に変化する。

青錆との境界がわかりにくいが、銅で見られる緑青は緑錆でもある。
 銅に出る緑錆は「パティナ」とも呼ばれ、生成された際の環境によってブロカンタイト、マラカイト、アズライト、アタカマイトといった複数の形をもつ。絵の具や塗料・顔料の材料としても知られているが、錆としての緑青は本来生成されるのに時間がかかる。最初に赤褐色の酸化第一銅が生成され、この酸化第一銅が周辺の雰囲気にある酸度、水、亜硫酸ガス、炭酸、窒素酸化物などと反応し、さまざまな緑青が作られていく。

◆黒錆

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 鉄に発生する黒錆は、酸化物の皮膜であり、錆の発生の際に水が関わらない「乾食」と呼ばれる錆で、高温に加熱することで鉄の表面に生成される。鉄本体への侵食を抑える機能を持つため、良性の錆などとも言われている。

 銀で作られたスプーンや食器、ペンダントなどの銀製品が黒ずんでしまうことがある。錆として銀の内部まで侵食しているわけではなく、銀そのものを破壊してしまうようなものではない。昨今、銀製品の多くは、シルバーの銀白色の輝きを損なわないようにするため、表面にはさらに耐食性に優れたロジウムメッキを施して黒ずみを防いでいる場合や銀に別の元素を添加して合金化したものを使っている場合もある。

◆白錆

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 アルミニウムで見られる白錆は、表面に生成された酸化アルミニウムがベーマイト、バイヤライト、ギブサイトと呼ばれる水和酸化物に変化したもの。アルミの白錆の下には通常酸化アルミニウムの薄い膜が作られており、これによってアルミ本体は守られていますが、酸化膜が破壊されると本体まで腐食していく。

 亜鉛で見られる白錆は、亜鉛の表面に作られる水酸化亜鉛が二酸化炭素と反応して生成された塩基性炭酸亜鉛と言われており、これが錆を防ぐ機能を持っている。

◆茶錆

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 鉄や鋼の錆は時に茶色の様相を呈している。これを総称して茶錆と呼ぶことがあり、これには二種類のタイプがある。赤錆のように、鉄を侵食し続けて最後には材料そのものを破壊して風化させてしまうような錆と、黒錆のように材料表面に発生して保護皮膜として作用するものとがある。

 前者の赤錆タイプのものは色も明るい茶色。後者の茶錆は、耐候性鋼と呼ばれる塗装なしで長期間の曝露にも耐えられるように開発された低合金鋼に見られることのあるもので、焦げ茶色や濃い茶色。

 銅や銅合金に見られる茶錆は、キュプライトとも呼ばれる。赤褐色で、どちらかといえば、赤錆に近いが、明るい茶色にも見える。これは保護膜として機能する錆であり、侵食から銅本体を守る機能を持つ。銅の錆の代表格は、緑や緑青色をしている緑青だが、これはこの酸化銅の上に作られる錆だ。こちらも保護皮膜として銅を守る。

◆黄錆

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 鉄鋼材料に見られることがある錆だが、実務上は、塗装や塗膜処理にかかわる鉄鋼製品に見られることが多いです。亜鉛めっき鋼板は、リン酸亜鉛処理工程が必要となるが、この過程で黄錆が発生することがある。

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