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向日葵

人生で初めて花をもらった。

卒業式とかでみんなに用意がされた花束をもらうことはあったけれど、私ひとりを想って、私の為だけに選ばれた花を受け取るのは初めてだった。花をもらうってこんな気持ちなんだって、今日をもって知れた。

花をくれた人は、『親友』という言葉以上があるならば、その言葉に当てはまるぐらいの関係にいる人である。出会って3年目になるが、今日その子に隠していた唯一の秘密を話した。本当は全てが解決して、時効になったら打ち明けようと思っていたが、「あなたのことをちゃんと知っておきたい」と言ってくれたから話しておきたい、にその瞬間なったんだと思う。泣きながら話す私を、目を逸らさずに聞いてくれて、知った後も変わらずでいてくれたのがとても嬉しかった。打ち明けている途中、私は今日話したことを後悔してしまうかもしれない、と思ったけれど、この子にこの秘密を隠し通すことはできないと感じたから、だったら取りこぼしなく伝え切ろうと努めた。後悔は残っていない。

久しぶりの再会で予想以上に話し込んじゃったし、私は泣いちゃうしで、本当は1つだけ授業をサボる予定だったが、結局全部サボってその後にカラオケまで行った。でも大学には用事があったのでカラオケ後に向かっていたら、その途中にある花屋でその子が定員さんに「ここにある花の中で1番可愛い花言葉を持っている花をください」と言い出して中に入っていった。この後にこの子はゼミに行かなきゃならないのにどうしてこんなにも一生懸命に選んでいるのだろうかと不思議に思っていたけれど、まさか私にくれるなんて。「少しでもあなたの今日が明るくあってほしい」と言いながら選んだ花をくれて、その瞬間、私一生この子に勝てないや、と思ったし、私がこの子の側にいる理由の全てだと思った。

毎日、絶望する瞬間が訪れるけれど、それでも明日が来てほしいと願えるようになったのは間違いなく、この子がいたからだと思う。「今日は笑えないな」って朝起きた瞬間に思う日があっても、この子に会えば絶対に私を笑わせてくれる。私の今日をいい日にしてくれる。お互いの1番にはなれないし、私たちの関係を的確に表現する言葉をまだ知らないけれど、互いが唯一の存在であることは間違いない。

私が初めて花をもらう相手がこの子でよかった。

これから先に花をもらう機会が何度訪れたとしても、「あなたの今日が明るくあってほしい」とあの子の想いが込められたこの花のことを必ず思い出すだろうし、この花よりも特別になることは難しいだろう。

オレンジ向日葵 『未来を見つめて』

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