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1章⑨【黒い物体襲来】パラレルワールドの事実 Season107/01/2018

黒い物体襲来[平成30年7月1日(日)] 

暑い7月の到来。
お昼ご飯、どこで食べようかなーと日傘を差してウロウロしていたら、大学の近くに木陰の多い大きな公園を発見した。
公園内には、ところどころにベンチがあって、大きな木が茂っている下のベンチでお弁当を食べる人が結構いる。

近くのコンビニで買ったおにぎりと唐揚げを持って、公園内をウロウロ。
気温が30度を超えているのか、日差しが厳しいから、木陰にあるベンチを見つけても、先約がいる。
コンビニの袋をぶらぶらさせながら、ベンチが開いてくれるのを待つこと5秒。
幸運なことに、一番大きな木の下のベンチでコンビニ弁当を食べていたビジネスマンが、急に立ち上がると、一目散に駅の方に走って行った。
なんと幸運だろう、次の営業アポでも思い出したのだろうか。

大きな木の下は、気温が5度くらい微かに涼しくて、心地いい風が木の葉を揺らす。
ベンチに座って、日傘を閉じて、おにぎりを食べようとするが、木陰でも、どこからか日差しがあって、やっぱり暑い。
仕方ないから、日傘を広げる。
エキナカで買った2000円の日傘は重宝する。
遮熱、遮光仕様の真っ黒な日傘をさすと、気温がさらに5度くらい下がった気がする。
片手で日傘、片手でおにぎりをほおばる。

二口くらい食べたところで、
「ドスン」という音とともに、岩みたい物体が傘の上に落ちてきた。
まさに青天の霹靂!一体なんなのだ。

岩

傘が重い。
手にしていたおにぎりを慌ててコンビニ袋の中に入れて、両手で傘を持つ。
岩にしては軽いが、まるで、5キロくらいのお米が落ちてきたのか物凄く重い。
なんの物体が落ちてきたのか!

おや?
バサバサ?
傘の上で羽ばたいている。
「カア」
岩と思った重たい物体はカラスであった。

カラス

傘の上で寛いでいるのか?
傘の上で喜んでいるようである。
「カラス、重い。どけ、どけ」
おにぎり食べるどころではない。
おにぎりを置いて、両手で、カラスの乗った重たい傘を、ゆさゆさ揺らした。
「カア」
傘の上の重たいカラスとおぼしき物体はビクとも動かない。
カラスのやつは、意地でも動かないようだった。

「こらあ、降りなさい」
もう、重さに耐えられなくなって、傘ごと目の前の地面にエイッと投げた。
と、舞っている黒い傘から、真っ黒なカラスが飛び降りた。
体長が2、30センチくらいある大人のカラスが、トントントン文鳥が踊るようにこっちを見ながら可愛らしくタップしている。

こっちに向かって、
「カア」
「もーう、お弁当食べる邪魔しないでよ」とカラスを睨んだら、カラスは嬉しそうに(嬉しそうに見えた)
「カア」

こっち向いたまま、またトントントンと足でリズム取る。
戯けているのか、ふざけているのか。
面白がっているとしか思えない。

「こら」
大きな声を出してから、周りのベンチでお弁当を食べている人たちの視線が気になった。
他の木陰に何人かお弁当を食べている人たちが、こっちを見て笑っている。
完璧に、カラスと戯れている変な人と思われている。
このカラス、どうしても退かない気だな。
うーん、周りに人がいるから、常識人としてはカラスとこれ以上格闘できない。

世間体に負け、急いで日傘を拾い上げて、おにぎりと唐揚げを鞄に入れて、ベンチから立ち上がって、カラスをもう一回睨んだ。
「あっち行け、しっ、しっ」

「カア」
未だカラスは嬉しそうにこっちを見ながらトントンしている。
遊んで欲しいのか?
周りの視線に耐えられず、カラスより、ボクが退散をするしかなかった。
うわーん、カラスの奴、折角の憩いの空間を奪ったな!

結局、おにぎりは、いつものように大学の学食で食べた。
もーう、カラスの奴のせいで、代わり映えのしない昼ごはんになってしまった。
学食でカラスの出来事を友達に話したら、
「カラスなんて不吉すぎるでしょ」
「キショイー!」とかなり引かれてしまった。

その中の宗教学に精通した男子が、
「ボクちゃん、ゾロアスター教やってるじゃん。ゾロアスター教の葬儀の時に死体をカラスに食べさせるよね。ボクちゃん、死んでるんじゃない?」などと、とんでもなく不吉なことをまるで善いことを思い付いたかのように言うのである。。
「死んでるなんて、不吉すぎるこというな」とボクは男子の頭をこついた。
「死体を突くのは禿鷹でしょ」と他の友達が言うと、
「カラスはゾロアスター教では神の使いだから、カラスなんだよ、ね?」とさっきの男子がボクに同意を求めた。
「あー、そうだったかな」と知ったかなと返事をしたが、そんなことは知らなかった。
まだゾロアスター教のレポートを1行も書いていないから、カラスってゾロアスター教と関係あるのか、あとで本読まなければなど、考えていた。

カラスって、神社でもカラスが守っている神様がいた。
八咫烏である。
カラスは、不吉っていうのは、カラスが可哀想な気もする。
結構、守神だったりするかもしれない。

さっきの戯けたようにトントンリズム取っているカラスは、どう見ても不吉とは真逆で、戯けすぎていた。
ボクの憩いの時間を邪魔してきたから怒ったけれど、後で考えると意外と可愛かったと思い出し笑いしてしまう。
カラスと友達になれるかもしれない。

ゾロアスター教とは (ゾロアスターきょう、ペルシア語: دین زردشت‎ Dîn-e Zardošt、ドイツ語: die Lehre des Zoroaster/Zarathustra、英語: Zoroastrianism、中国語:祆教(けんきょう・シェンジャオ/xiān jiào))は、古代ペルシアを起源の地とする善悪二元論的な宗教である。聖典は『アヴェスター』。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』https://ja.wikipedia.org/wiki/ゾロアスター教(2020/04/24閲覧)
八咫烏(やたがらす)とは 古代氏族の賀茂氏の一部が日本における神道、陰陽道、宮中祭祀を裏で仕切っているとされる組織。正式名称は八咫烏陰陽道 。 飛鳥昭雄、白峰、古歩道ベンジャミン、三神たける、中矢伸一、RAPTなどが存在を主張している。八咫烏同様の組織として、明烏などが存在する  出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』https://ja.wikipedia.org/wiki/八咫烏_(結社)(2020/04/24閲覧)


☆カラスとおしゃべりした事ありますか?

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半世紀以上前の世界に来てしまった。どうすれば、元の世界に戻れるんだろう。

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