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都の特別支援学校での「医ケア児保護者の付き添い」問題、ついに解決へ!

 ついに、ついに山が動きました。

 東京都教育委員会が、長年の課題であった「医ケア児の母親が教室に付き添って。(=仕事やめて)でなきゃ子どもは特別支援学校に来れないよ」問題に対し、「付き添いしなくて良いよ」と言う答弁を行ったのです。

 該当部分を見てみましょう。

 都立特別支援学校における人工呼吸器のモデル事業を踏まえた今後の展開についてでございますが、都教育委員会は対象の児童生徒の安全な学校生活に向け、看護師・教員等の役割分担及び安全管理の方策など、これまでの検証結果を取りまとめ、各学校に示したところでございます。

 今後は年度内にガイドラインを策定周知し、看護師を校内における人工呼吸器管理の実施者とする規定改正を行い、対象の児童生徒一人ひとりの状況に応じて、来年度から保護者の付き添いなく学校生活を送ることができるよう校内管理体制を整えて参ります。

出典 https://www.gikai.metro.tokyo.jp/live/reg2019-3.html より

 この知らせを受けた時に、僕は正直泣きました。

 そのくらい、何年もこの問題について、当事者や仲間とともに闘ってきたからです。


付き添いで仕事を諦める母親

 最初に特別支援学校に視察に行って、付き添いをしている母親を見た時は衝撃でした。

 教室の端っこで座っている。そして本当に時々、医療的ケアを自分の息子に行っている。

 でも、学校看護師さんはいる。

 「なぜ看護師さんが医ケアをしないのです?」と校長先生に聞くと、「規則でそうなっているのです」と。

 母親という医療の専門家でも何でも無い人が医療的ケアを行い、医療の専門家である看護師が何もしないルール。そんな矛盾に満ちた東京都の学校現場の状況に愕然としました。


学校に行けない小学生

 萌々華(ももか)ちゃんという子がいます。小学校5年生。彼女は医ケア児ですが、お話がとっても上手です。でも、特別支援学校には行けません。親御さんが共働きで、付き添いができないからです。

 代わりに先生が訪ねてきてくれますが、週3回、2時間のみ。この日本に義務教育をまともに受けられない子どもたちがいたことに、愕然としました。

 萌々華(ももか)ちゃんは偉い人に向けてお手紙を書きました。

 「私は学校に行きたいです。お友達といっぱいお話したい。私が学校に行けないのは、神様からの罰なのですか?」

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医ケア協議会の闘い

 こうした状況を見て、私たち医ケア児に関わる事業者たち、医ケア児の親当事者たちで結成した、「全国医療的ケア児者支援協議会」は、2015年から積極的な要望活動を重ねました。

 記者会見(https://www.komazaki.net/activity/2016/11/004854/)をしたり、

 都知事(当時は候補)に医ケア児に会ってもらったり(https://www.komazaki.net/activity/2016/07/004814/)、

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 都議会議員の方に何度も要望書をお渡ししたり

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 国会議員の方々に超党派会議を作ってもらって、この問題を認識してもらったり(https://www.komazaki.net/activity/2015/11/004736/

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 文科省に全国の教育委員会にガイドラインを出してもらったり(https://www.komazaki.net/activity/2018/05/post8061/)、

 国家戦略特区を使って安倍総理にお願いしたり(https://www.komazaki.net/activity/2016/10/004840/)、

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 ありとあらゆる方法を使って、「付き添い強制を辞めさせて」と訴え続けました。


頑張った都議会議員

 それに呼応するかのように、国会議員、都議会議員など、多くの皆さんが動いてくださいました。

 特に都議会の都民ファーストの会、公明党の尽力には感謝しても仕切れません。

 彼女たちは、ももかちゃんら医ケア児とその母親と、都知事と教育長が会う場をセットしてくれました。

 その場で萌々華ちゃんは、教育長にお手紙を読みました。

 「私を学校に行かせてください」と。

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社会が変わった瞬間・そしてこれから

 そして今回も公明党に都議会にて質問をしていただき、引き出せたのが冒頭の「付き添い廃止」宣言だったのです。

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 このように、多くの当事者たち、福祉事業者たち、政治家の皆さんたちが立場を超えて連帯し活動してきたことが、実を結んだと言えるでしょう。

 また、自分たち自身をアップデートするという難しい作業をしてくれた、東京都教育庁(教育委員会事務局)にも心から感謝いたします。

 ただ、医ケア児を巡る問題は、これで終わりではありません。

 あいかわらず、就学前の保育・教育の場所は数少ないです。

 ちょっと預けて一息つけるサービスは、ほとんどありません。

 学校に行けても、放課後医ケア児を預かってくれる放課後デイも、非常に少ないです。

 学校卒業後の居場所もありません。

 こうしたまだまだ足りない社会インフラを、まだまだ足りない制度を、これからもフローレンスは、全国医療的ケア児者支援協議会の素晴らしい仲間とともに、政治と社会に訴え、そして実現していきたいと思います。

 医ケア児家庭が困る時代なんて、あったんだ?

 そんな風に言われるまで。

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NPO法人フローレンス代表理事。慶應SFC卒。05年〜訪問型病児保育を開始。08年Newsweek「世界を変える100人の社会起業家」に選出。10年から待機児童問題解決のため「おうち保育園」開始。後に小規模認可保育所として政策化。14年、障害児保育園ヘレンを開園。