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『神さまの言うとおり』について思うこと~丑三の願いは叶うのか

(2022-09-18当時の記事)
2010年代に週間少年マガジンで連載されていたデスゲーム系の漫画。
あの頃ってデスゲーム系の漫画が流行っていて、だいたいの雑誌で血が飛び散っていたような記憶ある。
サンデーで連載されていた『今際の国のアリス』とかも懐かしいね。

『神さまの言うとおり』は二部作で、第一部では日常に退屈していた主人公・高畑瞬がデスゲームに巻き込まれて、友人や愛した人が亡くなっていく中、ゲームの首謀者・神小路かみまろを倒すことに生命を燃やしていく。
第二部ではサッカー少年だったもう一人の主人公・明石靖人が、また同じようにデスゲームに巻き込まれて、友人や愛した人が亡くなっていく中、自らが次の神になって今までのゲームで亡くなった人全員を蘇らせることを目標にゲームを進めていく。
第二部の途中から第一部の主人公たちも第二部のストーリーに絡み、最終的には共闘?する形でデスゲームに挑むことになる・・・。

以下、ネタバレしつつ語る。

第一部と第二部のストーリーが交わり、首謀者・神小路かみまろもプレーヤーとして席についた最終決戦、第一部の主人公・高畑が無事に神小路かみまろを倒し、第一部からの流れとしてはキレイに落ち着いた。
しかしながら、第二部の主人公たちのストーリーは、第一部の主人公・高畑が神小路かみまろを倒した後も引き続き紡がれた・・・。
ところで、この記事のサブタイにもある「丑三」とは、第二部の主人公・明石の相棒的存在だった変態・丑三清志郎のことである。独特な変態的感性と、圧倒的な身体能力で明石を幾度となくサポートし、最終決戦でも第二部の主人公・明石をサポートし続けていた。
そして、最終決戦では、第二部の主人公・明石と丑三、第一部の主人公・高畑の相棒的存在だった天谷武の三名が勝ち上がった。
ところが、破壊することに自分の存在価値を見出して生命を燃やす天谷と、破壊されたあらゆる者を復活させたい明石の考えは決して相容れるものではなかった。そこで、エクストラマッチとして、最終決戦を勝ち上がった三名の間(といっても丑三は明石の味方なので、実質第一部の主人公側vs第二部の主人公側)で、次の神を決める最後の戦いを行った。
最終的には天谷と明石が相打ちで死亡し、丑三が唯一神となる。
で、神には、自分が想像したことをなんでも実現できるという能力が与えられる。
しかし、丑三は明石こそが神に相応しいとして、時を巻き戻して神小路かみまろのようなデスゲームの首謀者となり、第一部の主人公・高畑が神小路かみまろを倒したように、あらゆる試練を乗り越えた明石が自分を倒しに来るのを座して待ち続けることにしたのであった・・・。

というところで本作品は終了している。

結局神って?神小路かみまろや丑三に力を与えた上位概念は何者??ということについて本作品ではほとんど語られていなかったが、最終回の後に発表された前日譚を読むと、本作品の全貌が明らかになる。


さて、ようやく本記事のサブタイの話を行う。
上記の通り、明石の相棒であった丑三が神になるも、明石こそが神にふさわしいとして、丑三が新たなデスゲームの首謀者となり、試練を乗り越えた明石に倒されるのを待ち続けるというところで本作品は終わる。
しかしながら、丑三の願いは叶うのか?
というのも、第二部の主人公・明石もサッカー少年として驚異的な周辺視野及び思考能力を持っていたのだが、あくまでも一流選手の延長線にすぎず、デスゲーム中の理不尽な暴力には抗えなかった。その暴力的な部分をカバーする役割が相棒・丑三に任されていたのだ。実際、丑三がいないと明石がデスゲームの途中でゲームオーバーになっていたであろう場面がいくつもある。
まず、明石が挑戦したデスゲームは下記のとおりである。
1 まめまき:殺意むき出しの鬼5匹を倒す
2 すなとり:目隠しした状態で砂を取る
3 学校の不思議:殺意むき出しの様々な妖怪を倒す
4 じゃんけん:単純にじゃんけんに勝てばよい
5 金太郎と熊:自分が鬼側になって金太郎と熊を倒す
6 空中でケンケンパ:謎解き要素もあり
7 天邪鬼迷宮:様々な課題を課されるが全部逆張り
8 ドロケイ:超大規模なドロケイ
9 ババ抜き(最終決戦):様々な罰を掻い潜りながらババ抜きでの勝利をめざす

そして、各ゲームにおける丑三の活躍は下記の通りである
1 明石の投げた豆を避けた鬼を退治
→この鬼を倒さなければ明石はゲームオーバーになってた可能性大
2 必勝法を明石に暗に伝える
→自力で気付けた可能性もあるが、気づかなければ明石はゲームオーバーになっていた可能性大
3 何度も明石に降り掛かりそうな暴力を引き受けていた。また、チーム戦だったので、明石チームの暴力担当としてチームに多大な貢献をした。さらに、本ゲームでの勝ち筋のヒントを明石に与えた
→このゲームで丑三が明石チームにいなければめちゃくちゃ苦戦していたと思うし、何なら明石チームが負けててもおかしくなかった
4~7 単独で挑むゲームかあるいは丑三不在
→丑三いなくても問題なさそうだが、1~3のゲームで丑三のヘルプを受けながら培った経験が生かされているので、全く関係ないわけでもない
8 丑三が第一部主人公・高畑とその相棒・天谷を連れてきて明石チーム敗北という運命の流れを変えた
→これ丑三いなかったら「確実に」明石はゲームオーバーになっていた
9 明石と組み、恐怖と殺戮でゲームを支配しようとしていた他プレーヤーを成敗
→ただ、この他プレーヤーを成敗しなくても、エクストラステージで倒せてた可能性は否めない

序盤のゲームでの貢献度半端ない。特に3つ目のゲームで丑三がいなければ、明石チームは全然妖怪を倒せず、確実に敗北していたと思う。
仮に序盤のゲームを他の暴力担当が明石の相棒になるなどして突破できたとしても、8つ目のゲームで丑三がいなければ「確実に」明石チームは敗北していたので、やはり丑三のもとにたどり着けない・・・。
そうすると、本作品は第一部との関係では主人公・高畑の願いが叶ってハッピーエンドのようなものになったが、第二部との関係では主人公・明石は死亡し、相棒・丑三は永遠に叶わない願いがいつか叶うと信じて、ゲームマスターとして座して明石を待ち続けるという悲しい結末になったというべきであろうか・・・。
丑三はただ身体能力に優れているというだけでなく、突拍子もない発想で明石たちを助けてきたので、これらが揃った新たな相棒が見つかるのか疑問である。そんな人物がいたら丑三と同様目立って然るべきだろう。しかし丑三以上に変態的に目立った人物はいなかった・・・。
億が一、そのような人物が見つかって数々の試練を乗り越え丑三の前に現れたとしても、もはや丑三が知る明石ではなく、新たな相棒に寝取られて自分を倒しに来るナニモノかということになるのだが・・・丑三はそれでも生命の輝きを見せた明石に会いたいのだろうか。

やはりどう考えても第二部との関係ではバッドエンドな気がするわね・・・。

ただ、もし丑三の願いが叶う方向へと考察するのなら、やはりキーマンは神・丑三になるだろう。上記のデスゲームはあくまでも元神・神小路かみまろ及び上位概念が考えたデスゲームなので、丑三が同じデスゲームを踏襲する必要はない。
おそらく最初何回か上記1~8のデスゲームをやって、8で絶対詰むことに気づいたあと、新たなデスゲームを考えては明石に試練を与え続けて・・・ということを繰り返していくのだろうか。

いや~歪んでるねぇ丑三清志郎♡

なお、上記で触れた名前ありキャラはすべて男性である。
他意はない。


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