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#20 無条件に愛されたかった。

最近、母が夢によく出てきます。

母は夢の中でも、私がどんなにがんばっても、決して褒めてはくれません。

昨日みた夢では、母はずっと、私の食事のマナーとか、気の利かなさにぐちぐち文句を言っていました。私は久しぶりの食事を、ただ楽しみたかっただけなのに。

今朝みた夢では、私はなぜか新米刑事でした。たくさんの捜査関係者と連携しながらなんとか犯人を追い詰めたのですが、左肩を焼き鳥の串で刺されて重傷(?)を負いました。家に帰って母にその話をすると「あら、それはもっとがんばらないと」と言われました。

ここからは現実の話です。

小学生の頃、私は幼馴染のみなちゃんと、母と、三人で自転車に乗りに、土手に行きました。自転車は私の一台しかありませんでした。母は、乗りたがるみなちゃんに貸してあげなさいと、何度も私を説得しました。でも、私は自分が先に乗りたかった。そして、史上最高に駄々をこねました。だって私の自転車だもん。でも母は、一切譲ろうとしませんでした。

私が絶望したのは、自転車を譲らざるを得なかったことではありません。母が私の気持ちではなく、みなちゃんの気持ちを優先したことでした。「お母さんは私じゃなくて、他の家の子が大切なんだ」というあの絶望感を、私はいまでも、土手の夕焼けと共に覚えています。

母には、子供を愛するための条件が、きっと無意識にたくさんあったのだと思います。私にはもうすぐ40歳になる姉がいますが、箸の持ち方が正しくないことと、授かり婚をしたことで、いまだに母にため息をつかれています。姉が結婚したのは、もう15年も前のことなのに。いまでは立派に、高校生と中学生の兄妹を育てているのに。

母が祖母からたたき込まれてきたルール。人様から褒められるような人間でなければならないというルールが、我が家には根強く流れています。

でも、本当は、無条件に愛して欲しかった。

自転車を友達に譲れなくても、お箸が正しく持てなくても、結婚と出産の順番が、母が思っていたものと違っても。人様から褒められるようなことができなかったその時も、愛してるというメッセージを受け取りたかった。直接言葉で言ってもらえなくても、感じ取っていたかった。

もし自分に子供が産まれたら。
うまくいかなかったことも、全部まとめて愛したい。うまくいったことは、もっとたくさん褒めてあげたい。自分は無条件に愛される存在なのだと、感じながら育って欲しい。大人になってから、嫌な家族の夢を、みない大人になって欲しい。

こまつまい

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