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小松雨暗のリズムエッセイ

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書きたいテーマでリズムエッセイを書いています。 【リズムエッセイとは、小松雨暗の造語。構成を気にせず、勢いで書く書き方】
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#本

いつも47ページで止まってしまう

 哲学の一般向けの本を読んでいると、いつも最初の方でひっかかる。  例えば、物に精神性があるとする考えをファンタジーだと言い切るのはいいが、主観的にしか世界を構築できない部分については、どう考えているんだろうと。そう言いきっているのに、やはり様々な検証を自分の内的経験を積み重ねることで足りていると考えているみたいだ。自分の考え(経験)についてだけは、論理性が担保されているという立場で語っているようにしか見えない。数学の公理みたいに、ここはこういう前提です、みたいなものがあるの

本 2

(「本」からの続き)  あれほど本を大事にしてきた自分に、こういうことが出来てしまうということを、自分の事ながら、どこかで思ったかもしれない。でも、窓から見えるその風景は、あっさり自分の感覚に馴染み、作家に対するなんらの感情も、すでに生じなかった。  実際、この重しは非常に具合が良かった。  大きなレジ袋が二つなのだが、今まで、かなり大きな数個の石ですらゴロゴロ動かす風に煽られていた覆いが、ビクともしない。しかも、立方体の落ち着いた佇まいである。いい仕事をしてくれるくらいに

 本が好きな人間なら、多分当たり前に同意を得られると思うが、自分が学生の頃、母親や妹は、私から本を借りるのを嫌がった。私が、これは読むべきだと思い、その本は今では思い出せないのだが、もしかしたら「きけわだつみのこえ」あたりだったかもしれない。それなのに、借りる事に対し、母や妹には、なんらかの抵抗があるように見受けられた。  そのことに対して、質問したことがあったと思うが回答はなく、曖昧に微笑まれただけだったが、その後、かなりたってから、時効と判断した母から、事の真相を聞くこと