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観光業界には、むしろチャンスしかない。

 本日、日本政府観光局から、2020年4月の訪日外客数(推計値)いわゆる我が国へのインバウンド数が発表されました。前年同月⽐ 99.9%減の 約2,900人という数値に。これは、単月の訪日外客数としては、JNTO で統計を取り始めた 1964 年以降、過去最少になります。  

 私は、ここ数日とくに、各国における国内旅行の回復状況や渡航規制緩和状況、国際機関(UNWTO)のスタンス、また観光業界をはじめ異業種も含めて経営者のインタビュー記事やブログ、動画での対談、業界団体の動きなど…、情報を集中的にあさって傾向を見ています。

 その一環で昨晩拝聴した、News Picksの「THE UPDATE」が、とてもおもしろかった。

テーマは「観光業界にチャンスはあるのか?」
https://newspicks.com/movie-series/10?movieId=711

 近年、討論番組で観光がテーマとして取り上げられることが本当に増えて、とても嬉しく感じます。それだけ、観光が日本経済のけん引役としても雇用創出、地方創生など様々な文脈でも、注目されているということの表れなのだと思います。

 さて、討論には、今まさに観光業界の最前線で奮闘されている星野リゾートの星野 佳路さんや ホテルシェルターといったマッチングプラットフォームを立ち上げられた龍崎 翔子さんをはじめ、インバウンドやITに精通した専門家が登場し、徹底討論。かなり、本質を突いた内容が多く、ワクワクしながら最後まで拝見しました。

「観光業界の今の打ち手は?」そして「日本が観光大国になるためには?」というアジェンダで討論され、様々な視点で討論が展開しましたが、
その中で、とくに私が注目したキーワードは以下。

☑18ヶ月が、ひとつの目安・時間軸となる
☑需要の平準化
☑多角化(観光業を別の業態に変換してみる)
☑不稼働時間の活用
☑日本はアジアの「スイス」へ(脱・薄利多売)
☑現行サービスや受入体制のアップデート
☑グローバルスタンダードに対応したIT化
☑エンタメ産業の強化
☑国立公園や世界自然遺産の活用


 これまで、観光産業の改革に向けて様々な検討が政府内でもされていますが、ほぼその方向性に合致するもの。といいつつ、これまで有識者とともに議論され、提言もされ、事業予算化もされながら、なかなか進まなかったことばかり。ある意味、コロナ以前からずっと指摘されてきたこと、観光業界に求められていたことを、コロナが浮き彫りにして突きつけてきた、緩やかに変化することを許さなかったということなんだなと、私は感じました。その証拠に、テレワーク化も、Eコマース化も、このわずかな期間で急激に進んだ。観光業界もいまこそ再構築が求められている、のだと。

 私は、コロナがすべてを更地にして、大小の企業規模も、都市部も地方部も関係なく、みんなを強制的にスタート地点に立たせた、と考えています。また、昨日の討論を拝聴して、あらためて、観光産業が名実ともに憧れの産業になり、真の意味で尊敬される産業になるための、大きなチャンスであり転換期なのだと強く確信しました。今も大事ですが、むしろアフターコロナに観光業界はどうあるべきか。討論で語られる観光業界のこれからには、悲壮感は全くなく、むしろワクワク感しかなかった。そのことが、私には大きな希望と自信になったし、観光産業に求められていることの大きさにむしろ、高揚したくらいです。だから、業界に身を置く人たちにも、この分野で働いていることを誇りに思って欲しい。観光産業って、やっぱりすごいんだよと。

よく、「神様は、越えられない試練は与えない」と言います。
だからこれは、観光産業にとってチャンスでもあり、必要な試練なんだと思います。重い試練が来る前に、変革できていたら痛みも伴わなかったかもしれないですが、人生も同じように、そればっかりは誰にも予測できないので、誰にも罪はありません。そして、やることがこれだけいっぱいということは、伸びしろもいっぱいということ。むしろ積み残していた課題が、観光産業を突き動かすきっかけになるとは。尽くす手が全くなかったら悲観するしかないけれど、やることが見えてるのだから、あとはやるしかない。

 定量的には、国内旅行も、インバウンドも、日本人のアウトバウンドも、これまでと同じ水準に戻っていくには、1〜2年はかかるだろうという見立てがありますが、今は、数字にとらわれず、その間をどう過ごすのか、自社や地域、業界の力をつける、在り方を再構築する大切な時間にしていくことが大事であり、私はこれからも現場の方々と走り続けたいと、思いを新たにしました。