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WFH(在宅勤務)の生産性

この号は当たりかなと。特集はWFH(在宅勤務)で6本のペーパーが掲載。前半3本がいわゆる在宅勤務時の課題解決に焦点を当て、後半3本は残されたオフィスのあり方についての考察となっていて、どれも有意な内容だった。

中でも『マイクロソフトのデータが示す在宅勤務の課題』は、社員がO365を使って行う日々の業務内容をデータ化し測定する、ワークプレイス・アナリティクスと、無記名のアンケートを組み合わせて考察を行ったもので、なかなか示唆に富む内容であった。

まず、このペーパーを書いたMS社の3人の肩書だが、一人目がワークプレイス・インサイツで、次がワークプレイス・アナリティクス、そして最後がワークプレイス・インテリジェンスとなっていて、ワークプレイス・アナリティクスに対して相当な力のいれようである。この分野は飯のタネになると踏んでいるのだろう。

で、調査でわかったことだが、まず、社員の一日の勤務時間が長くなった。これは、長時間労働になっているということではなく、勤務時間の合間にプライベートな用事をすますために、業務の中断時間を組み込んだ結果、O365へのサインインからサインオフまでの時間が延びたということであった。

他のペーパーでも指摘されていたが、在宅勤務時の課題として最も注視されているのは時間の使い方(オンとオフの切替え)である。これは、オンとオフの切替が上手くできる人はさしたる問題を起こすことはないようだが、オンオフの切替が速やかにできない人は心身の健康を害するのではないかと危惧されるからだ。

従来のオフィス勤務でもメンタルの不調をきたすのは、生真面目で仕事を抱え込んだり、根を詰める性格の人であるといわれてきた。そのことを踏まえると、在宅勤務になって上司の目が届きにくくなることでこの問題がより深刻化することは相当な確度でありそうなことである。

で、次にわかったことは、MTG時間の短縮化である。具体的には30分単位のミーテイングが増加したとのことであった。この結果は非常に興味深い。しかもミーテイング時間が短縮した原因の推察がこれまた面白いというかへぇ~という感じである。

会議時間が短くなったのは、会議そのものがシャープになったこともあるようだが、それよりも上司と部下の1on1の時間が増えた(増やした)結果であると推察している点だ。

つまり、オフィスにいたときには上司も部下も食事やコーヒータイムなどで何気なく時間と空間を共有することで得ていたお互いの情報が在宅勤務中心となることで得られなくなり、それらを補うために今まで以上に1on1の時間を増やす必要がでてきたということのようだ。

1on1を行うことでお互いの信頼感を増加させ、しかも日々の業務遂行状況までも確認できるので、結果としてミーテイングで話し合う内容は精査されたものになり、時間も短くなるのであると。もちろん1on1に当てる時間を捻出するためにもミーテイングの時間は短くならざるを得ないということもあるらしい。

他にもいろいろためになる話が盛りだくさんであったが、後半のオフィスのあり方についての考察も面白かった。在宅勤務が中心となると、オフィスが不要という話に行きがちだ。確かにワークスペースを確保しておくということでいえば無駄になるという指摘はそうだろう。しかし、今後のオフィスというのは、仕事をする場ではなく、社員同士が感情や思考を共感共有をするためのリアルな場の提供が目的になるのではないだろうかという示唆であった。

これはそうかもねと思った。これからのオフィスは、普段の仕事の延長のスペースではなく、たまに皆が一堂に会してお互いの思考感情を五感を通してコミュニケーションする場になるのかもしれないと。そういうことが可能なスペースのデザインとはどんなものなのか?そんなことをつらつらと考えるとワクワク感が止まらなくなるのであった。

#在宅勤務
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