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#小説

煙となって。

煙となって。

※この小説は “煙になって、”をご覧になってから読み進めていただくことを推奨致します。

「まだあの仕事してんの?
あ、紙タバコやめたんだね。」

彼と別れて半年が経ったある日。
久しぶりに会いたくなって連絡してみると、二つ返事でお店まで決まった。
行きつけのあの居酒屋。
近況報告をしていく中で、ふとタバコが変わっている事に気がついたのだ。

「そうだよ。
もう吸えるお店が少なくなってきたからね。

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煙になって、

煙になって、

「まだあの仕事してんの?
あ、紙タバコやめたんだね。」

半年ぶりに会う腐れ縁との乾杯を終え、近況報告をしていく中でこんな話になった。
少しうるさいが、お酒も料理も美味しく居心地の良いこの居酒屋は、
彼女と一時期足繁く通っていた行きつけだった。

「そうだよ。
もう吸えるお店が少なくなってきたからね。
最近はめっきりこれ。」

そう言って持ってきた電子タバコを見せる。
紙はダメでも電子なら良いとい

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