Old IMGのUSMLE受験体験記 〜STEP 1〜

はじめに

USMLEは本当に辛い試験で、私もSTEP1は人生で最も辛い試験だったと思っています。何回か途中で挫折することもありましたし、どれだけやっても受からないのではないかとすら思いました。ただ終わった今は、やはりただの試験であり、英語の勉強のため、留学のためなどそれぞれ目的は違うと思いますが、大きな目標はその先にあると思います。初心を忘れずに努力を続ければいつかPassは可能だと思いますので、めげずに挑戦を続けていただければと思います。

留学経験や英語力など、USMLEを開始した背景

私は完全な純ジャパです。家族も海外志向などはなく中学校から普通に英語の勉強を始めました。中学生のときにオーストラリアで1か月間の語学留学を経験しましたがそれ以外留学経験はありませんでしたが、英語の勉強は比較的好きで大学入試までは英語が得意だったのですが、その後はほとんど英語の勉強をしておらず、15年が経過した今では専門の論文を読む程度の英語力しかありません。
医学生時代は部活や学生祭、飲み会に打ち込みすぎて、試験はギリギリの成績で合格し、CBTも辛うじてクリアしました。基礎医学では留年寸前になることも数回ありましたがなんとか留年せずに卒業できたくらいです。

しかし、あるきっかけでアメリカ留学に興味を持ち、USMLE(米国医師資格試験)の勉強を始めました。医師6年目にFirst Aidを購入し、評判の良かったRxで勉強を始めましたが、200〜300問を解いたところで挫折しました。その後、2022年9月に海軍病院に合格したのち、本格的にUWorldでの勉強を開始しました。当時、24時間体制のオンコール勤務で外科だけでなく外傷や心臓血管外科のオンコールも対応していたことや、長男が生まれバタバタしていたため忙しく、22時か23時頃から勉強を始めては、3時頃まで勉強して就寝、6時起床という生活でした。

最初は2〜3問解くのに1時間もかかり、基礎医学はほとんど新しい内容を学ぶような状態でした。英語での学習も難しく、基礎医学の教科書を買い直して適宜参照して勉強しました。

初期の勉強法

英単語もわからないものばかりでしたので、UWorldとOneNoteをiPadのSplit viewで使用し、問題と解説をコピーしてDeepLで翻訳する方法を試しました。これは他の先生が行っていたものを参考にしましたが、この方法は時間がかかりすぎるためお勧めしません。初期の頃は医学英単語自体が全く分からずこの方法で解いていましたが、もう少し効率性を上げるべきでした。



Uworldを大体1000問くらいこの方法で解きましたが、その後は英語にも少し慣れて、Uworldの解説や問題の大切な箇所にマーキングをし、画面のスクリーンショットを撮り見直しながら復習する方法に切り替えました。(スクリーンショットはアプリではBanをくらいますが、web版の場合は可能です。これは自己責任で行なってください)

地道に勉強を続け、1か月で約300問を解くペースになり、最終的には5月に1周目を終えました。
その後、NBME form25を受験し、52%のスコアでした。復習もあまりできていなかったのでこんなもんかぁという感じでした。1回目の受験期間を3-5月に設定していたのですが、流石に受験は厳しいと思い、6-8月に変更し7月に受験する予定としていましたが、海軍病院のExternshipなどで思ったより忙しく、8月に変更しようとしたところ予約が取れず、、、泣く泣くお金を再度払い9-11月に再設定しました。

復習方法については、私は時間をかけて理解し覚えていくタイプではなく短期記憶タイプだったので、膨大なuworldの内容を覚えていくことはかなり辛かったです。
2周目の勉強では、ANKIカードを作成して復習する方法に切り替えました。しかし、自作のANKIカード作成にも時間がかかり、9月末には2周目の半分を終えるところでした。

NBME Form27で再び52%を記録し、全く成長していないことから「やっぱり凡人にはUSMLEはpassできない試験なんだ、、」と絶望しましたが、家族や同期に叱咤激励されつつ、ボスからも「とりあえず落ちてもいいから逃げるな、11月に受けろ」と言われたので10月の1ヶ月は師匠の言う「寝る概念を捨てる」モードに。今まで作ったANKIをひたすら回す、uworldも200問/日くらいで回すペースで、歩いている時、風呂に入ってる時、トイレにいる時、ご飯食べている時はずっと携帯をいじっていました。睡眠時間は眠い時だけ寝るという感じだったので2-3時間くらいの睡眠➕限界がきたら数10分の昼寝みたいな感じでした。

NBME Form29 10/17 54%
NBME Form31 10/23 57%
free120 10/27 60%

着々とスコアは上がってき始め、1週間前のfree120でようやく60%を超えました。正直他の受験生が70%前後で挑んでいる中60%前後で受験は本当に恐怖でしたが、海軍同期が同じくらいでpassしていたため自分も玉砕覚悟で11月1日に受験しました。最後の1週間はひたすらANKI+FIRST AID巻末のRAPID REVIEWを見直しました。
RAPID REVIEWは自分が本当に理解しているのか、周辺知識があるのかをチェックするためには本当に役に立ちました。FIRST AIDの通読を勧めている先生もいらっしゃいますが、やはりこれも時間がかかりすぎることや短期記憶の僕には合わないため、このREVIEWで十分でした。最後の1週間で知識がどんどん繋がってく感覚があり、短期間で大分成績は上がったと思います。

本番(11月1日)

前日にお茶の水入りし、同期がSTEP受験時に使用していたホテルマイステイズ御茶ノ水に宿泊しました。前々日が当直だったため前日は21時くらいに就寝し、体調を整えました。どうでも良い情報ですが、前日にBARTHという入浴剤とアリナミン ナイトリカバーを使用したところ寝起きがものすごく良かったので、CKの際も同じ様に使用しました。

本番はブロックを連続して解く人もいる様でしたが、私の場合は集中力が切れるだろうと思い1ブロック毎に10分間ほど休憩をとりました。難易度はuworldくらいで、60%は取れたかな、、くらいの感触でした。時間は大体5分くらい余るくらいで、余裕はありませんでした。

これでfailしたら留学は諦めよう。家族のことなどで色々悩んでいた時期でもあり、試験の先に待っている試練などを考えると本当に自分は留学ができるのか、したいのかと悩む期間で弱気になっていました。
結果は2週間後に出ました。Federation of State Medical Boardsというサイトからpass or failが早めにわかるようになっているのですが、2週間後の水曜日、午後3時に結果が出ました。なんとかPASS。妻の実家にいたのですが、みんな喜んでくれお祝いをしていただきました。

最後に

本当に人生の中で1番辛い試験でした。(2番目はセンター試験) 終わりが見えない、全然受かる気がしない勉強を1年以上続けるのは本当に精神的に病んでしまい、海軍同期や支えてくれた家族がいなければ無理だったと思います。また私の場合は臨床をしながらだともっと無理だったと思います。

今振り返るとpassをするだけならただひたすらuworldを短期間で回すだけで到達できたかもしれません。内容も基礎医学を真面目に勉強せず卒後かなり経った私からすると難しいことばかりでしたので、完全な理解を求めず短期決戦、短期記憶で挑めば良かったと思います。基礎医学の清書を読んだりuworld以外の問題集はpass目的なら必要ありません。

逆説的になりますが、確かにかなり時間のかかる辛い試験ですが、USMLEは留学するのに必要最低限クリアしなければいけないものなので時間をかけすぎるのは良くないと思います。CKのスコアも高いに越したことはありませんが、STEP1は必要最低限の勉強で最短合格を目指すことをお勧めします。

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