ガリョキンproで考えたこと②
マンガ家の染谷ユウです。
前回に引き続き
ガリョキンproで賞に入るために
工夫したことを解説します。
今更ながら受賞したわけでもないのに
『賞に入るために考えたこと』って
誤解を招きそうだったので
今回からタイトル変えました(汗)
タイトルを改めて
『ガリョキンproで考えたこと』
これで記事を書いていこうと思います…。
前回の記事はこちらからどうぞ。
ここからのお話は
私が連載の企画を立てる時から
とても意識してる事です。
②描く前にリサーチする
●過去のガリョキンproで受賞した作品を読む
まず私が描く前にした事はこれでした。
もし検索で受賞作が見つけられたら
ガリョキンproで出してる元のネームと
比較して漫画家さんがどう工夫して
どこを変えたのかを見てました。
あと編集部のコメントも
目を通してどこで評価されてるのかも
チェックしました。
キャラクターデザイン
コマ運びetc…
丸々コマ割りも構図も変えてる作品を見て
『ここまで自由にして良いんだ!』と
判断基準になりとても参考になりました。
●新人賞を出してる雑誌の連載作品を読む
あともう一つリサーチするのは
その雑誌のプロの連載作品です。
雑誌の読者層に当てはまる絵柄や
系統、人気作品の傾向など…。
絵柄を寄せすぎても二番煎じになるし
外れすぎると退けられてしまう恐れが。
今回はジャンプということで
知ってる作品も多かったので
この作業は省きました。
私は青年向け雑誌で連載中は
絵柄をリアル寄りに寄せて描いてましたが
今回はラブコメ部門&少年誌なので
できるだけ少年向けの絵柄に寄せました。
(なかなか絵柄を変えるの難しい…。)
今回はガリョキンproという
作画に関してだったので
私が絵柄以外に比較したことは
画面の密度でした。
そのやり方が、
自分の完成原稿と
プロの完成原稿を横に並べる
吹き出しとセリフの大きさ
書き込み量、ベタの配分
画面の余白など
プロ作品と比べてその差を埋めるために
どう近づけていけるのかを試行錯誤します。
自分が描いてる時にはわからないので
完成した出力データで比較すると
より比較がしやすいと思います。
描く前にリサーチするメリットは
評価の基準がわかる
比較の対象ができる
こんな作品を描けるようになりたいという
目標という道があれば進めやすいです。
〜連載でも使える考え方〜
”描く前にリサーチする”
というのは連載企画を出す時でも
大事にしてる考えでした。
自分が連載したい雑誌の連載作品を読んで
ジャンルが被ってないか
雑誌の読者層とこの企画に合ってるか
同じ雑誌の作品の二番煎じになってないか
それを大前提にネタを妄想して
企画を考えてました。
もし担当さんがついたら
これから始まる新連載のジャンルや
読者のターゲット層など教えてもらい、
二人三脚で企画を作れます。
でも自分がまだデビューする前は
そういうことも知らずに
青年向け雑誌なのに少年向けの
企画ばっかり出して没を繰り返してました。
もしこれから新人賞や企画を出す方は
ぜひこれらのこと意識してみてください。
私みたいに青年向け雑誌なのに
コロコ○コミックにありそうな企画を
出さないように…。
③何を伝えたいかを意識する
●この作品は一番どこを伝えたい?
新人の時に担当さんと打ち合わせした時に
何十回と問われた言葉…。
それほど重要だったんです。
私がガリョキンproのラブコメ部門の
ネームを読んだときにまず考えたことは
このネーム原作者さんは
『どこを一番見せたいか』ということでした。
もし公式サイトで確認できるなら
ぜひ読んでください。
(ネームはここに載せられないので…。)
全ページで一番大きいコマはどこか
1ページの中で一番大きいコマはどこか
基本的に大きいコマは重要で
読者さんに見せたい!というコマです。
そしたら女の子の全身!表情!が
どのページも一番大きく描かれてます。
ということは原作者は
このヒロインが一番見せたい
ということだと思いました。
最後のページで
一番大きく描かれたコマは
ヒロインの驚いた表情でした。
ということは
作品全体で一番見せたいのは
最後のヒロインの表情。
あとはここのシーンをどのようにして
盛り上げて見せれるかが大事で、
これまでのページはそのための準備
なので自分ができる範囲で工夫します。
これを踏まえた上で次のことを考えます。
④キャラクターを理解する
⑤コマ割り、構図を工夫する
次回の記事からは
自分が描いたのを載せて
解説していきたいと思います^^
〜新人の頃から意識すること〜
新人の頃から
ずっと意識してることは
『この雑誌で一番目立つ見開きを描く』
ことでした。
そしてその目立つ見開きというのが
作品の一番見せたい&伝えたいところでした。
せめて覚えてもらいたいという
強い思いがありました。
新人の読み切りは誰も読んでくれない…と
ひねくれた思い込みがあったので
だったらどうするかを考えてました。
『紙の雑誌を読んでる読者さんなら
自分の好きな作品を読んだ後に
パラパラめくって閉じるだろうから
目に止まるような見開きがあれば
読んでくれるかも』と
淡い期待を抱いて考えてました。
それは読み切りデビューから今もずっと
変わらない考えです。
『罪と快』の1話の見開きでも考えてました。
”どーしてこんな展開になってるの?”
”このあとどーなっちゃうの?”
と思ってもらえたら無関心からは
脱却できるのかなと思いました。
…でも漫画で一番大切なのは
キャラクターです。
私は目に止まってもらうために必死すぎて
キャラの好感度を全て後回しにしてしまいました。
バランスも大事です…。(涙)
新人賞ならたくさんの応募の中から
読んでもらえる工夫をするなら扉絵です。
一番最初の読者さんでもある編集部の人の
目に止まるようにするためには
扉絵で目に止まる、何か惹き込まれる
工夫をすることではないかと思います。
ではまた次回お会いしましょう^^
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