桜越しのアパートと飲み会(小山の戯言)

中野の川沿いを歩いていたら、斜に構えた性格をしている俺でも「綺麗だな」って思える桜が咲いていて、その桜越しに見える薄汚れた青い壁のアパートの2階から大学生らしき男女が出てきて「うわーめっちゃ綺麗じゃん!」「ここ毎年桜咲くのよ」「へぇ〜」なんて会話をしているもんだから俺は心の中で「エロすぎだろッ!」と叫んでしまった。
と同時にこのままそれを見続けたらマジで怪しい人間なので、スマホを取り出して桜の写真を撮った。

「なんかこの道通ったことあるような気がする」

桜が咲く川沿いを歩きながらなんとなく思った。初めて通ったと思える道がなぜかこないだ来たみたいに思える、デジャブを感じる瞬間がたまにある。
5分ほど歩いたら大通り沿いに出た。

「この道か!」そこで思い出した。

専門学校に入学して一人暮らしを始めた俺は、埼玉から上京して東京というものにキラキラした何かを期待していた。飲み会やらなんやら頑張って参加するが、空気になること1ヶ月。
専門で初めて出来た友達は1ヶ月で学校に来なくなった。

ウェイ系ノリの飲み会に参加したらコールとか言う謎の酒遊びがあってそれにノレず、なんかムカついてそばにあったレモンサワーを一気飲みしたら「いや、そういうアレじゃないよ?」と言われてしまい(もはやイッキはダサいみたいな風潮があった)お金と恥ずかしさを置いて居酒屋をあとにした。
どうせ1人の安アパート、その日は帰りたくなくて途方もないまま中野の夜を散歩した。

「その時に通ったんだった、この川沿い」

あの時は嫌な街だと思ってたけど、こんなにも綺麗な桜が咲くんだなと思った。

結局飲み会とか参加していたのは入学して2ヶ月ほどでほぼ行かなくなった。(誘われてもないが)
あの頃はキツかったけど今となっては良い思い出だし、経験値にもなった気がする。
新生活を始めた人も多いと思うけど、体と心が壊れない程度に色々チャレンジしてみるのはありかなって思います。

基本的に飲み会は無意味だけど、記憶に残るものはすべて経験値だし。

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