耳(小山の戯言)
最近のイヤホンはノイズキャンセリング機能があるもんだから危ない。普通に歩いていても後ろに人がいることに気づかなかったりする。
スーパーで音楽聴きながら買い物かごを取ろうとしたけど、傘を持っていてあたふたしていた。すると、後ろのおばさんに「邪魔だよ!!!」と怒鳴られてしまった。
そんなに怒る??と思ったけれど、ノイズキャンセリングでおばさんの一言目が聞こえてなくてしびれを切らして怒鳴ったんだと思う。申し訳ない。
昔から一つの音に集中してしまう癖がある。多分”ノイズキャンセリング機能向いてない族”だと思う。いつからか、イヤホンしない日も増えた。
こないだ駅の階段を上がっているとフラフラと歩きながら身振り手振りも大袈裟に喋っている様子の男子高校生2人組が居た。 駅はかなり混雑していたのもあって、隣のおじおばが「周り見えてないのかしら」と言っていた。
正直俺も思ってしまった。
でもよく見ると、その身振り手振りには明らかな意図があった。
多分、手話だと思う。(耳にも補聴器的なものを2人ともつけていた) 聞こえてないから周りの人の足音とかにも気付かない。俺のノイズキャンセリング機能による怖さの何倍もの恐怖を彼らは感じているのかもしれない。
そんな2人は手話で楽しそうに喋っていた。ストレスすら感じる駅の雑踏をかき消す空間だった。
帰りに駅のプリン屋に寄った。すると店員さんに「小山さんですよね!?」と話しかけられた。視聴者さんだった。
「いつも見てます!応援してます!」 何気ない一言と出会いだったけど嬉しかった。そんな帰り道。
家に買ってプリンを食べたら甘くて美味しくて一瞬で食べ終わってしまった。空になったプリンの容器ほど切ないものは無いな、と思った。
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